東京→青森、国道4号を通らない山岳ロングライド

東京->青森 732.43km、国道4号を一切通らない山岳ルートを自転車走破!
2018年 9月 23日 AM3:00:00 〜 翌 9月 24日 15:13:43.
時間: 36時間13分43秒 (途中 2時間程度の仮眠)
平均時速: 20.2km
コース: 東京日本橋->江戸川CR->日光->鬼怒川->会津若松->長井->寒河江->新庄->横手->角館->大館->弘前->青森.

ルートラボGPS記録
 (前半)日本橋〜山形新庄 >> https://yahoo.jp/pji0Nv
 (後半)山形新庄〜青森 >> https://yahoo.jp/JX4z0m

■ ことの起こり
今年のシルバーウィークも、どこか遠くに行こうと計画を練っていた。
当初、まだ果たしていない大阪→東京キャノンボールに挑もうと考えていたのだが、
周囲の猛反対に合ってあえなく取り下げとなった。
そこで計画を改めて、できるだけ交通量が少ないルートで遠くまで行くことにした。
(実は同じことを3年前にもやった気がする。。。今後、大阪→東京を走ることはもう無いだろう。)
まっさきに候補に挙がったのは、今年のGWに行った秋田までの再チャレンジだ。
 ・2018/4/28 東京→秋田ロングライド >> d:id:rikunora:20180604
あの時は予想を超える寒さに苦しめられたが、今度は十分な防寒装備で挑んでみようか。
改めて Google Mapを眺めると、秋田までの道をそのまま延長すれば、青森まで達することに気が付いた。
距離を測ってみると、4号線経由と大差無い。
東北の真ん中を突っ切って行くのだから、むしろ距離的には少し短い。
もちろんアップダウンはあるのだが、それでも1000mを越える峠は無い。行けそうだ!

東京→青森は、3年前に4号線経由で行ったことがある。
 ・2015/9/19〜20 東京→青森ロングライド >> d:id:rikunora:20151001
あの時は、とにかく飽きるほど長かったという記憶しか無いのだが、
それでも運良く34時間以内に走りきることができた。
今回は1日半=36時間を目標に青森を目指すことにした。
今回も、着替えと輪行袋をあらかじめ青森中央郵便局に局留めで送っておいた。
ただ、輪行袋については別に緊急脱出用の軽量のものを携行した。
今回はスケジュールぎりぎりの、走行後の翌日午後には出社予定だったので、万が一でも帰れるように備えたわけだ。

■ 機材
・Time VX Elite
・パーツ: Dura-Ace 7800, ワイドレシオFront:50x40, Rear:11x28
・ホイール: Ksyrium SLS
 もうこれ以上はないだろうと思っている、ロングライドの鉄板機材。

・タイヤ: Continental Grand Prix TT
・チューブ: Panaracer R'Air 軽量チューブ
この Grand Prix TT、名前の通り Time Trial用タイヤで、軽くて速い。
全体的に薄いのだが、それでも今までパンク無しの優れものだ。
さらに今回はパンクのリスクを恐れず軽量チューブにしてみた。
この組み合わせの走り心地はすばらしい。

・フロントライト: CatEye Volt300×2 -- バッテリーはVolt400のもの.
リアライト: CatEye Rapid-mini×2
・バーエンドライト: CatEye LOOP2 -- トンネルなどで手を離さずに点灯できる.
Volt300 に Volt400 のバッテリーを付けると、点灯時間が長持ちする。
ライトは前後とも、同じものを2個ずつ装備した。
たとえ1個がトラブったとしても、もう片方で乗り切るためだ。
あと、サイコンは持って行かなかった。(記録はGPS-Watchでとった。)
途中で電池切れになることが分かっていたし、これほどの長距離で、
途中のスピード経過をいちいち気にするのが良くないように思えたので。

■ 服装
ついこのあいだまで猛暑だったのにもかかわらず、東北の夜はかなり冷え込むらしい。
そのため服装についてはかなり悩んだ。
天気予報を参考に、昼は28度〜夜は10度まで耐えられる装備を選んだ。


反射ベスト(Biemme)、防寒用の上着(cannondale, 袖が着脱できてベストにもなる)、ろんぐらいだぁす!ジャージ。


蛍光ウィンドブレーカー(CRAFT)、アンダーシャツ(CRAFT)、タイツ(PearlIzumi)、靴下(PearlIzumi)。


手袋は2重、手が痛くなるので。寒さに備えてのメットインナーキャップは功を奏した。

今回よかった一品は、CRAFTの長袖アンダーシャツ。
下着にしてはかなり高いと思えるお値段だったのだが、実に快適。
下着には贅沢する価値があることを覚えた。
日中はこの長袖アンダーシャツの上に、半袖サイクリングジャージ、反射ベストというスタイル。
夜はウィンドブレーカー、あるいは防寒上着を着用した。

■ 緊急Goods

緊急脱出用の軽量輪行袋(SL-100)。野宿のためのレスキューシート。今回は共に出番が無かった。

■ 経過
・深夜3:00、日本橋道路元標を出発。
 出発時の持参食料、おにぎり×3個、ウィダーインゼリー×2個。
・国道4号を通らないよう、まずは東へ。
 隅田川沿い、スカイツリーの傍らを抜け、国道6号を一路江戸川へ。
 金町から江戸川サイクリングコースに入る。
・江戸川CR、深夜はほばがら空きだが、ごく希に散歩、ランニングに出会う。
 気がつくとハンドルにたくさんの蜘蛛の巣がくっついている。
・境から県道17号に入る。一瞬、雨がぱらついたが、降られることはなかった。
 古河付近の路面は濡れていた。際どいところで雨を回避したようだ。
・県道から細い抜け道ルートで小山へ抜けた。ここでおにぎりを食べる。
・小山郊外「扶桑第一公園」でトイレ休憩、おにぎりを全て食べる。今回、朝からやたらと腹が減る。
壬生町鹿沼を抜け、日光までは微妙な登り。
・日光、大谷川を渡る橋のたもとでトイレ休憩、ウィダーインゼリーを消費。
・鬼怒川バイパス、日塩有料道路を通る。それぞれ50円、20円。
川治温泉トンネル手前で休憩、最後のウィダーインゼリー消費。食料が全て無くなった。
・すばらしい景色の山道、だが何も無い。腹が減ってやばい、ハンガーノックが近い。
中三依(なかみより)温泉「山の幸直売センター」にたどり着き、
 店のおばちゃんに「腹が減って動けない、何か食べ物をください」と訴える。
 親切なおばちゃんが、奥からカボチャの煮物と栗ご飯を出してくれた。
 空きっ腹に染み渡るようにうまかった。おばちゃん、ありがとう!
 しかも無料。申し訳ないので、ジュースにアイス、ビスケット類を購入した。


 (写真は Google Mapより)

・薄曇りから晴に代わり、気温上昇。いいかんじに山王トンネルを越える、標高846m(GPS読み)。
・山間の田んぼの中を下り調子で会津若松へ。途中、下郷付近で自販機休憩。
会津若松では、ちょうど「会津祭り」で賑わっていた。侍のかっこうをした人が練り歩いていた。
 駅前は混雑で通れなかったため、裏手に回る。
・13:20「ファミリーマート会津金川町店」で休憩補給。
・国道121で喜多方市街をバイパスし、「道の駅 喜多の郷」でトイレ休憩。
大峠登り途中、日中ダムで12時間経過。この大峠の道の眺めはけっこう好き、トンネル多いけど。
 だいぶ疲労が溜まってきたが、まだ全行程の1/3と思うと笑いがこみ上げてくる。
・トンネルを越え、山形県道4号、次いで県道8号に入り、川西町へ。
 ここはGWに訪れたとき工事中で走れなかったところ。
 田んぼの中、良い風景の道。このあたりで手持ちのおにぎりを次々と消費。
米坂線今泉駅付近の稲荷神社で休憩。
 自販機ジュースと最後のおにぎり消費。ここではGWのときにも休憩した。
 何気ない場所なのだけれど、ちょうどこの辺りで疲労が溜まるポイントだし、水道もあるし、ここで休みたくなるのだな。
・長井通過、最上川沿いに北上。対面で何台かのロードに出会う。
・荒砥から国道287を最上川沿いの道に入る。ここはGWのときに道を間違えたところだが、今回は大丈夫。
・「道の駅 白鷹ヤナ公園」でトイレ休憩。
 あゆ祭りをやっていたようだが、もう終わりの時間だった。
 ここからライト点灯、ナイトランに入る。
・朝日町、寒河江、河北、国道347に入って村山市、問題なく通過。
 明かりも交通量少ない。この辺りでようやく全行程の半分。
 GWには寒くてたまらなかった記憶があるのだが、今回は気温20〜18度で涼しいくらい。
 走行感覚がまるで違う。
大石田駅前から県道を通って国道13号に入る。
・舟形トンネルあたりで、眠気と疲労が襲ってきた。
 少し先の南新庄駅(無人駅)ホームの待合室で仮眠をとる。
 完全個室、トイレ付き(?!)の快適なところだ。21:00〜30分程度の休憩。


 (写真は Google Mapより)

・22:22「ファミリーマート新庄昭和店」で遅めの夕食。
 おにぎりが喉を通らなくなってきているので、甘いパン食とする。
 (ここで買った予備のおにぎり1個は、結局最後まで食べずに持ち越した。)
・深夜23:30、旧道の主寝坂峠を越える。真っ暗、すれ違うものは何も無い。
・峠を越えてから下り坂、走りやすくなる。
 しかしここから明け方にかけて、疲労と睡眠との戦いとなる。
・0:26「道の駅 おがち 小町の郷」で休憩をとる。
 いよいよ気温が下がってきたので防寒上着を着用。やはりこれが役に立った。
 気温は最も低いところで12度の表示を見た。
 これは1回だけで、あとは16〜18度程度だった。
 (この街道沿いには気温の表示があるのだ。)
 東京の暑さからは想像しにくいところだが、これもGWの経験のおかげ。
・3カ所続く道の駅「おがち 小町の郷」「十文字」「雁の里せんなん 雁太郎」は、
 休憩室が24時間開いていると事前に調査済み。(今回せんなんは通過した)
・次の道の駅「十文字」で眠気が極に達した。
 休憩所に寝られるような場所は無かったのだが、構わずカーペットの床でごろ寝する。
 (GWにやむなく寝た、公園のトイレの中より数倍マシだ。)
 1:30〜2:39、約1:00の仮眠。
・横手の手前で深夜3:00、24時間が経過した。仮眠してもやはり眠い。
 (この感触からすると、24時間東京->秋田は極めて困難だ。)
・美郷から県道11号に入り、角館を目指す。
 この間、眠くて疲れてひたすら長かったという思い出しか無い。
 昼間に走れば、さぞ良いところだったろうに・・・
・角館で夜明けを迎える。
 5:00〜5:34、角館市街を抜けた付近のバス停「元町」で約30分の仮眠をとる。
 雪国のバス停は立派な個室になっているのだ。疲労のあまり熟睡する。


 (写真は Google Mapより)

・目が覚めると辺りは薄曇り。
 ここから北秋田市まで約100km、途中、想像以上に何も無いことに驚く。
 地図を見ると鉄道に沿っているのだが、なぜこんなところを走っているのだろうか。
 疑問に思っていたところ、1両だけの汽車がコトトン、コトトン、と追い抜いていった。
 なんとも感動を覚えた。(秋田内陸縦貫鉄道、知る人ぞ知るローカル線だ。)
・このあたりが最も精神的につらかった。
 上り坂なのでペースが上がらない。
 残り200km(東京-静岡以上!)あると思うと、本当に青森にたどり着けるのかと疑いの念が頭をもたげる。
 幸い輪行袋も持っていることだし、あの電車に乗ってしまえば良いのではないか・・・
・足を引きずるように前進を続けると、いつしか登坂のためチェーン脱着所の前を通過した。峠が近いようだ。
 7:51、やっとのことで大覚野峠を越え、青森まで行く自信を取り戻す。天気も晴れてきた。
・ひたすら山中の長い道を下り、9:40「ローソン 北秋田米内沢諏訪岱店」で補給と休憩。
 ようやく町に戻ってきた。

・鷹の巣から国道7号線に入る。青森まであと105kmの看板を見る。もう少しだ。
 あと少しという気持ちも手伝って、不思議と新たな力が湧いてきた。
 国道7号は交通量が多い。ここまでの山中に比べれば圧倒的。
 (というより、ここまでの交通量が異様に少なかった。)
・大館を通過した先で、大荷物のキャンピング自転車に会った。なんでも神奈川から来たのだとか。
・12:09、矢立峠。これまで越してきた峠に比べれば道も良く、問題なく越せた。いよいよ青森県だ。
・12:28「道の駅 碇ヶ関」で最後の大きな休憩。手持ちの黒糖まんじゅうを食べる。
 (ここは以前、東京->青森ランでも立ち寄ったところだ。立ち寄った時刻もかなり近い。)
・ここから青森までは2通りの道がある。
 (1)国道7号をひたすら走る。(2)県道を通り黒石、青森空港を経る。
 (2)は以前走ったルートなのだが、路面があまり良くなく、青森空港への登りもあることから、今回は(1)を選んだ。
・ところが国道7号は、弘前付近からいよいよ交通量が増え、大型トラックもたくさん通るようになった。
 1カ所、陸橋の階段を上らなければならないところもあった。
 幸い自転車が走れる路肩は広く取ってあったのだが、この路肩はあまり整備されておらず草ぼうぼうで苦労した。
・しかも国道7号にも、青森の手前には山越えがあった。総合的には(2)青森空港ルートの方がよかった。
 これも両方走ってみなければ分からないことなのだが。
・9月24日 15:13:43、ようやく青森県庁前に到着。長い長い道のりであった。
 感想、『もうこれ以上走りたくない(笑)』

■ おまけ
Google がオートバイと認識!