クロモリ,カーボン,TTバイク 〜 東京湾1周自転車比較

クロモリ(鉄)、カーボン(旧型)、カーボン(新型)、TTバイク、
ロングライドに最も適したロードバイクはどれだろうか?
4種類のロードバイク東京湾1周180kmを走り、比較してみた。

・大まかに言えば「どれでも一緒」、タイムは最大でも10分しか違わない。
・最速は同着1位で クロモリ(鉄)、カーボン(旧型) であった。
・カーボン(新型) が最も遅かった。これはどうしたことか・・・
・TTバイクは最もトップスピードが高いにも関わらず、3位であった。
・トップスピードが最も遅いクロモリは、後半で最速だった。

■ 比較したロードバイク

【クロモリ】チネリ・スーパーコルサ

・ホイール: Mavic Open-Pro ・タイヤ: Schwalbe Stelvio

【カーボン旧型】TVT92

・ホイール: Ambrosio Excursion ・タイヤ: Continental Ultra-Sport

【カーボン新型】サーベロRS

・ホイール: Ambrosio Excursion ・タイヤ: Continental Ultra-Sport

【TTバイク】サーベロP2

・ホイール: Campagnolo Scirocco + HED ディスクホイール(痛ディスク)
・タイヤ: Maxxis Fuse + Zipp Tangent

※ パーツはほとんどシマノアルテグラ
※ カーボン新型とカーボン旧型のパーツは全く同一。

■ 走行コース:
 往路: 荒川自宅 → 荒川CR・葛西付近 → 稲毛海岸 → 千葉みなと公園で給水 → なるべく旧道を走行 → 金谷
 東京湾フェリー: 金谷→久里浜 (フェリー内では毎回おにぎりセットを食べた)
 復路: 久里浜国道16号 → 横浜 → 国道1号 → 東京駅・国道1号開始地点

* ルートラボの記録:
クロモリ一周 >> http://yahoo.jp/BALeUG
※ 旧型カーボンの記録は残っていない。
サイクルメーターメモリーカード・スロットに水が入り、記録が消えてしまった。
TTバイク往路 >> http://yahoo.jp/uqUpvl
TTバイク復路 >> http://yahoo.jp/NqvCQx
新型カーボン往路 >> http://yahoo.jp/Eq77EO
新型カーボン復路 >> http://yahoo.jp/cBaEB3

■ 結果:

1段目のタイム、平均時速は休憩を含む実測値。
2段目は休憩時間とその内訳。
3段目は休憩を除いたタイムと平均速度。
4段目は参考条件と、往路・帰路の出発時刻。

* 東京湾フェリーの切符:
 1ヶ月に1度のペースで回った。

* 走行コースの細かな違い:
※ クロモリ、カーボン旧型では、一般公道で葛西駅近辺を通過したが、
  カーボン新型、TTバイクでは旧江戸川サイクリングロードを利用した。
※ 横浜、桜木町付近のコースが若干異なっている。
※ 東京、三田付近のコースが若干異なっている。
※ クロモリでは国道1号開始地点がゴールではない。東京駅付近の等距離の地点で代用した。
※ 厳密に言えば1周ではなく、国道1号開始地点 〜 自宅までの帰路は記録に含まれていない。

■ インプレとの違い:
この結果に一番驚いたのは、私自身です。
当初の私の予想では、
・TTバイクがぶっちぎりに速くて、
・新型カーボンがその次、
・3位は僅差だけれど旧型カーボンで、
・4位はやっぱりクロモリかなぁ。。。
乗り心地の印象だけで判断すれば、この順位が妥当でしょう。
今回、いかに“インプレ”が当てにならないか、よく分かりました。
確かに、乗った感触は4台それぞれに異なっています。
目隠しで乗ったとしても、どれかを言い当てることができるでしょう。
これは決して私の特技などではなく、比較すれば誰でも分かる程度に違っています。
しかし、その違いがタイム等に直結するかというと、どうやらそうでも無いということです。

■ TTバイクが最速では無かったの?
短い平地でトップスピードを比較すれば、明らかにTTバイクが最速です。

  * TTバイクは本当に速いのか >> [id:rikunora:20130430]

にも関わらず、なぜロングライドで最速にならないのか。
それは「小回りが利かず、加減速に弱いから」です。
TTバイクの場合、トップスピードになる前に、次の一時停止がやってくる感覚があります。
信号で停止して、青になって「よいしょ」という感じでスタート、
加速が乗ってきてようやくトップスピードになったかと思うと次の赤信号、その繰り返し。
帰路に至っては、TTポジション(中央のエアロバーを握ること)を1度も取りませんでした。
混雑した国道16号国道1号で、TTポジションは無理というものです。
要するに、TTバイクは一般公道には不向きです。

結果の表で、TTバイク帰路の休憩時間 14分となっているのは、懐中電灯を取り付けた時間です。
TTバイクには懐中電灯や小物を取り付ける場所が極端に少ないので、取り付けにはけっこう苦労します。
(ハンドル断面が翼形をしているので、丸パイプ用のホルダーが使えません。
 私はマジックテープのバンドを使って縛り付けているのですが、かなりのコツが要ります。)

■ クロモリはロングライド向きって本当?
本当でした。
・帰路で最も速かったのはクロモリ。
 他の3台が全て後半ペースダウンしているのに、クロモリだけがイーブンペースで走っている。
・トップスピードはクロモリが一番遅い。それは往路のタイムに表れている。
・単に私の持久力が足りないだけで、パワーのある人であれば、
 往路のスピードをそのまま帰路に持っていけるのかもしれない。
・クロモリだけ特に遅い時間帯に走ったので、道路が空いていたという事情があるかもしれない。
幾つかの事情があるにせよ、
 「一般人が公道でロングライドを行った場合、クロモリが長持ちする」
というのは本当です。

■ 結局のところ、クロモリとカーボンのどちらが速いの?
全く同じです。
総合タイムを見てください。180km走った結果、1位同着で 7:22 でした。
これは、わざと仕組んだ結果ではありません。偶然にしては、ちょっと出来過ぎなくらいです。
トップ選手がロードレースでどうなのかは知りませんが、
私のような一般レベルのロングライドでは、全く差がありません。

■ 新型も旧型も、たいして違わないの?
真実を明かせば、たいして違いません。
自転車メーカーの人には悪いですが、そんなものです。
・往路の最速は旧型カーボンであった。これは、当日に強い追い風だったことが大きい。
・それでも、復路は逆に向かい風の小雨という最悪条件で、そこそこのタイムを出している。
・新型は乗ってから日が浅い。旧型の方が長年走っているので、体に馴染んでいたのかもしれない。
・新型だけが、フェリーを除いて全くの無休憩だった。
つまるところ、新型が劇的に速いということはありません。
(これもトップクラスの話ではなく、あくまでも一般レベルの話です。)

今回最も遅いと評された新型カーボンであるサーベロRSについてフォローすると、
どうやら別の領域に得意技があるようです。
上り坂に強い。あくまでも感触なのですが、上り坂と立ち漕ぎがとっても楽です。
その反面、重たいギヤをガシガシ踏むのがやや苦手(回転タイプ)な感じがします。
今回はコースの大半をインナーギヤで走破しているので、それがタイムに反映しているようです。

■ 走行後に疲れが溜まっていなかったのは?
以下は感覚的なものですが、
・最も疲れが残らなかったのはTTバイクだった。
 TTバイクだと、スピードが出し切れない=完全に走り切ったという感じがしない。
 他は“もう十分”という感じだったが、TTバイクであれば、もう1周行ってもいいかな、という気がした。
・次に疲れなかったのは、新型カーボンだった。
 休憩無しであるにも関わらずである。この点では、新型カーボンすばらしい。
・旧型カーボンでは、帰路が向かい風の小雨だったので、気分的に疲れた。
・クロモリは、タイムの上では疲れていないようだが、感覚的にはとっても疲れた。
総合的には、タイムが良いときほど、全力を出し切って疲れている。
ということは、「タイム+残り疲労=一定」なのであって、
実は自転車の種類に無関係なのではないか、という疑惑が断ち切れない。。。

■ 痛ディスクが足引っ張てんじゃね?
いや、そんなはずは無い。そんなはずは・・・
まっとうに考えると、ディスクホイール、重いし、加速に時間がかかります。
なので、ディスクホイールはやっぱり公道には向きません。。。
(多くの人が気にする横風は、実のところそれほど気になりません、私の場合は。)
今回の比較の中で、最も良いと思えるホイールは、やはり Mavic Open-Pro です。
定番中の定番と言われるホイールだけのことはあって、これを付けていれば間違いありません。
他の2台で用いたアンブロシオのホイール(Excursion)は、頑丈で重めのリムですが、その割にはよく走ります。
価格性能比からすれば、かなりのお得感があります。

■ この結果って、それほど厳密なの?
条件が異なるので、さほど厳密ではありません。
結果は信号運、天候、気温、風向き、混雑状況、体調などで変わってきます。
だとすると、ここでの5分10分の違いを検討するのはあまり意味が無いような気もします。
180kmで比べた割にはほとんど違わない、というのが素直な感想です。

■ 速い方が偉いの?
そんなことは無いと思います。
競争ではないので、ゆっくり景色でも眺めた方が楽しい気がします。
ただ、今回は性能比較が目的だったので、余計な休憩をできる限り入れませんでした。
・・・次回はもっとのんびり走りたいです。

■ 180kmってロングなの?
人によります。
この質問を発するような人は、対象外です (^_^);

■ なんでこんなにたくさん自転車があるの?
一言で言えば、“趣味”です。。。


・以前からロードレーサーに乗っていた。
 6段変速→7段変速。もちろんこの時代はクロモリしか無かった。
・いいかげんボロになったので、奮発して最高の自転車を買おうと決意。
 それがチネリのスーパーコルサ ← 昔から欲しかった憧れのマシン。
・以前のロードレーサーの部品が余ったので(シマノ600)、それを使ってもう1台作成。
 中古のフレームを安く手に入れる。それが旧型カーボンのTVT92。
・数年間は2台体制。
 スーパーコルサとTVT92、この2台の性能はほとんど同一で、甲乙付け難い。
  * 鉄.vs.カーボン >> [id:rikunora:20090927]
 今回、決着を付けようと180km比較を行うも、本当に全く同じであった。
・古い部品(シマノ600)がボロボロになったので、新しい部品に交換する(アルテグラ)。
・今年になってトライアスロンに復帰しようと思い立ち、TTバイクを購入。これで合計3台となった。
・最近、TVT92のフレームに入った傷が大きくなってきた。
 自転車屋に相談すると、さすがにもう寿命だと言う。(20年近く経っている)
 走行中に分解する危険さえあるとのこと。(エポキシ接着剤が弱くなって、すっぽ抜けるかも)
 TVT92、すごく良い自転車だったけれど、残念ながら今回で引退。

・TVT92を廃車にして、新しいフレームを購入。それが新型カーボンのサーベロRS。
 旧カーボンの部品を全て移植して、今に至る。