東京、名古屋、中山道

ゴールデンウィークと言えば、ロングライドの季節だ。
今年はどこに行こうかと考えたとき、中山道キャノンボールが候補に挙がった。
キャノンボールとは、東京大阪間を自転車で24時間以内に走破しようというチャレンジのことである。
それを中山道経由で行うという、さらに常軌を逸したチャレンジが、中山道キャノンボールだ。

そんなこと本当にできるのか?
かつて、これを成し遂げた人が、私の聞き及ぶ限り2人ほどいる。
なので、決して人間にとって不可能という訳ではない。
中山道経由で東京大阪間は、ほぼ560km。これを24時間で割ると、時速23.33..kmとなる。
この数字を地図の上にあてはめてみると、東京日本橋を出発して、
 ・塩尻峠   9時間
 ・木曽福島 11時間
 ・恵那   14時間
 ・米原   19時間
といった、自動車並のスケジュールが浮かび上がる。
・・・いやいやいや、これって無理ゲーでしょ。
当然、私もそう思っていました。

ならば、中山道キャノンボールはどの位すごいことなのか、本当に無理なのか。
先週末の土曜日(4/23)に試してみた。
とりあえず甲府くらいまで行ってみようと、あまり深く考えず、朝 6:10に東京日本橋を出発した。

* ルートラボの記録はこちら >> http://yahoo.jp/KvVs8q



甲州街道にある最初の難関は大垂水峠だが、
調布から -> 多摩川サイクリングコース -> 野猿街道 -> 津久井湖 と抜けると、
たいして遠回りせず回避できる。(約3km程度のプラス)
この回避ルートが良かったのか、調子が良かったのか、
甲府まで苦労らしい苦労もせず、4時間程度で到着。平均時速25kmくらい。
この調子ならもっと行けるぞ、ということで、諏訪まで足を伸ばすことにした。

富士見までジワジワと上り、そこから一気に下って、諏訪湖に付いた時点で8時間30分経過。
思っていたよりもずっと早い。
ここにきて、「ひょっとしたら、行けるかも」という気持ちがムクムクと湧き起こってきた。
塩尻峠のチェックタイムは9時間。
それより早ければ大阪まで24時間の可能性がある。
今の調子で頑張れば、達成できるのではなかろうか。
全力モードに切り替えて、塩尻峠にアタック!
岡谷から劇坂を一気に上って、塩尻峠の通過タイムは8時間52分。
ぎりぎりクリアー、貯金タイムは8分。

ここから本気で大阪を目指す。
みどり湖の湖畔を抜けて、木曽路に入ると強い向かい風となった。
鳥居峠まで、上り坂と向かい風がつらかった。ここで大いに足を使う。
峠を越えて下り基調になると、俄然、スピードが出てきた。
木曽福島を過ぎ、大桑村で全行程の半分。
時間もちょうど12時間経過。貯金タイム無し。

夕方、中津川コンビニに入る。時刻は7:16。
すごい勢いでおにぎりとウィダーインゼリーを買いあさり、焼きプリンをガツガツ食べていたところ、
通りがかりのおじさんが驚いて「あんちゃん、まだ走るんかね」と尋ねてきた。
「もちろんっすよ!」


ところが、コンビニを出たところで雨が降ってきた。
これはしまった。軽い気持ちで出てきたので、雨具、防寒具の類を何も持っていない。
しかし、どのみち進むしか無い、とにかく前進あるのみ。
中津川より先の国道19号は小さなアップダウンの連続で、疲れた足がさらに削られた。
雨は一向に止む気配が無く、だんだん体が冷えてきた。
このまま続けて走るのは危険だという、理性が働いた。(気持ちが折れた、とも言う)
目的地を名古屋に切り替えて、安全にたどり着く方を優先した。

春日井付近で16時間経過。
後から調べたところ、この時点で目標タイムに12分(5km)の遅れだった。
なので、さらに無理してがんばったところで24時間大阪には達しなかっただろうと思う。
雨の中、さらに1時間前進して、17時間後に名古屋に到着。
充実の1日が終わった。

サイコンに残った記録は 341km, 14時間36分。平均時速は約23.5km。
実はサイコンの中に水が入ったおかげで、記録は瑞浪付近で終わっている。
(その後、サイコンは乾かしたら直った。)

こうして“中山道の下見”を終えたわけだが、明日からいよいよゴールデンウィーク本番である。
この休み中にもう1度、中山道キャノンボールにチャレンジしようと思う。
名古屋まで走った感覚からすると、やはり24時間大阪達成は非常に難しい。
ロングライドは後になればなるほどつらくなるので、名古屋から先も同じスピードを保つのは至難の業である。
実力からすれば25〜6時間程度。運が良ければ達成できるかも。
そんな気持ちで、30日か1日の朝に、もう一度日本橋を出発します。