三次元の囲碁

囲碁というゲームは、二次元平面の碁盤上で行われます。
それでは、囲碁の碁盤を三次元空間に広げたら、もっとおもしろいゲームになるか?
WEBを検索すると、3次元の囲碁というアイデアはちらほら見かけますが、
実際にやってみたという報告は見当たりませんでした。
そこで、とにかくやってみることにしました。

* 3次元の碁盤(5x5x5)
>> http://brownian.motion.ne.jp/memo/PV3DBoxSpace.html
3次元空間に箱を並べただけのものです。
・箱をクリックすると、グレー => 黒 => 緑 => グレー といった順番で色が変わります。
・箱の上でマウスボタンを押したままドラッグすると、碁盤全体の向きが変わります。
機能はたったそれだけ。
恐ろしく使い勝手の悪い代物ですが、お試し用プログラムということで許してくだされ。

さっそくこの3D碁盤を使って、囲碁ができるかどうか試してみました。
ところが・・・どうも3次元の囲碁は、ゲームとして成り立たないように思えるのです。
というのは、3次元の場合、目(自分の陣地となる隙間)を作るのが極めて難しいのです。
通常、囲碁は地(自分の陣地)が作りやすい隅の近くから打ち始めます。
3次元でもこの定石に従って、隅から少し離れた点、2x2x2あたりに打つのがよさそうです。
ところが、相手の側は、構わずに隅のすぐ隣の1x1x2に打ち込むことができます。
これが2次元であれば、相手の石を囲むように(例えば1x3の位置に)石を置くことで、
隅のすぐ隣の石を殺す(完全に囲む)ことができるのですが、
3次元の場合、例えば1x1x3の位置に石を置いたとしても、完全に殺すことができません。
相手の石は1x2x2の位置に逃げ出すことができるのです。
幾つか試してみたのですが、隅を巡っての攻防戦はいつでも乱戦になってしまい、
どちらか一方の側が隅に陣地を作るということができませんでした。

それでは、隅ではなくて、いきなり中央から打ち始めたらどうなるでしょうか。
少し複雑な形になってくると、自分が何を打っているのか、把握するのが非常に難しくなってきます。
やはり3次元空間の複雑さは、2次元空間の比ではありません。わけわからん。
それでも、隅で起こったのと似たような状況が、盤面の中央でも起こります。
目の隙間を作るのが、とても難しい。
一方が目を作ろうとすると、たいていの場合、もう一方がどこかの方向から邪魔することができるのです。
結局どちらの側も目を作ることができず、乱戦のまま最後までもつれこむ。
最後に駄目を詰めた方の勝ち。
ということで、3次元だと、2次元の囲碁のような戦略的なゲームにはなりませんでした。
それとも、もっと上手い人が打てば、十分おもしろいゲームとして成り立つのだろうか。
囲碁に詳しい方、いかがでしょうか。

要は、3次元だと「自由過ぎて」ゲームにならないのです。
適度な制約がおもしろさを生む、2次元の囲碁は実に微妙なバランスで成り立っているゲームだったのです。

3次元碁盤は Flashで出来ています。
Paparvision3D というライブラリを用いています。
Ver1_5 でないと動きません。最新バージョンだとコンパイルできません。
ここにソースを置いておきます。
>> http://brownian.motion.ne.jp/memo/BoxSpace.as

※ ・・・と思ったら、3次元の碁盤がここに紹介されていました。
※ プロ棋士、小林千寿先生のブログです。気になります。(11/04追記)
>> http://blog.goo.ne.jp/33612534201/e/43b354e302bac42b37b48d83f93b6586

※ kashiさんから情報提供いただきました、Javaで動作する3D囲碁がありました。
>> http://fr.sourceforge.jp/projects/sfnet_go-3/
※ Client-Server型のアプリで、ネット通信対戦を行うことができます。
※ 画面はこんな感じ。動かすには Java3Dが必要です。