経済がわからない

わかりません。
具体的なお金の使い方とか、経済用語がわからない、ということではなくて、もっと根本的なところがわからない。
そもそも経済というものは、いったい何がしたいのか。
何を目指しているのか、目的は何なのか、どこに焦点を結ぶのか、それがわからない。
お金儲けがしたいのでしょうか?
だったら話は簡単です。
与えられた資金、資材、人材を用いて利潤を最大化せよ、というのであれば、少なくとも目的ははっきりしている。
でも、いろいろと話を聞いてみると、どうもそうではないらしい。
もしお金儲けが最終目的だったなら、世の経済学者はもっとお金持ちになっているはずです。
では一体、何が目的なのか。
建前としては「みんなが豊かになる」ことなのかな?
しかし「豊かさ」とは、具体的には何を指すのか。
いろんな人に聞いてみると、なんだかんだと理屈を付けて、結局は自分がいかに正しいか、という結論に落とし込もうとする。
要は、正当化。
なので、どうも経済はよくわからん、という気持ちになってくる。
でも、ただ「わからん、わからん」とゴネていても始まらないので、経済の何がわからないのか、自分なりに整理してみました。
以降、もっともらしい事を書きますが、全ては私の当て推量です。
なので「疑問」という形で書いてあります。

* 疑問その1.経済は必ず破綻するのか?
経済というものは、遅かれ早かれ必ず破綻する宿命にあるのではないかと思います。
その理由は、ずばり「利子」。
お金には利子が付くのですから、世界中のお金の総量はだんだん増えてゆきます。しかも、指数的に。
一方、地球は有限です。だから、最終的には必ず破綻する・・・
あまりにも単純な理屈でしょうか。
でも、単純であるが故に、避けられない事実だと思います。
人口が増えてゆけば、いつか地球は満員になる、というのと同じ理屈です。
破綻の根本的な原因は「借金」にあります。
もし借金というものがなかったら、経済はとってもシンプルだったでしょうね。
定量のお金が、増えもせず減りもせず、ぐるぐる循環するだけ。
でも現実は、そうなってはいません。
どういった形であれ、とにかく借金は一定の割合で増えてゆく。
増えたものは、どこかから取ってこないといけない。
もし世界中の貨幣の量が一定で、借金の数字だけが増えていったら、最終的にはどこかで必ず破綻しますよね。※3
破綻しないためには、借金の数字の増え方に合わせて、貨幣の量も増やして行かねばならない。
つまり、お金をバンバン刷って増やす、ってことです。
ところが、お金というものは無闇に増やすことができません。
あまりにも増やすと、お金自体の信用が落ちてしまう。
仮に信用が落ちなかったとしても、世界中の貨幣の量が際限なく増えてゆくことになってしまう。
借金の数字が指数的に増えてゆくのであれば、いつかはお金を刷るスピードすら追いつかなくなるときが来るはずです。
だから、経済はいつか必ず破綻するのだと、私は思っているのですが・・・
これは私の想像なのですが、経済が破綻しないと言っている人は、
どうやらお金の増え方に合わせて「有限な地球」の方も際限なく増えてゆく、と思っているみたいです。
人の消費は、欲望は、指数的に限りなく増えてゆくはず。
だから、消費に合わせてお金を増やしていっても、何ら問題無いのではないかと。
でも、私の感覚からすれば、物理的な消費には上限があると思うのです。
現に今、あちこちで「消費を増やせ、経済を回せ」と大号令をかけているではないですか。
もし消費の増え方が、お金の増え方よりも大きかったなら、こんな号令は発せられないはずでしょう。
つまり現状は、人の欲望に合わせてお金を用意しているのではなく、お金に合わせて人の欲望の方を引っ張っているわけです。
だとすれば「消費を増やせ、経済を回せ」の号令は破綻の前兆であって、いつかは人がお金について行けなくなるときがやってくると思うのです。

注1.以上は世界全体についての話です。
1つの国家、たとえば日本という国だけに着目すれば、
「モノが足りなきゃ、海外から取ってくれば(あるいは海外に売りつければ)いい」
という解決策があります。
しかし、世界全体で見れば、やはりお金の総量は増えるし、消費もいつかは落ち着くことでしょう。
今、経済が破綻していないのは、世界にはまだ「消費>お金の増え方」となっている場所が残っているからです。

注2.お金の総量を変える方法は、次の4つだと思います。
 1.借金の利子
 2.新しいお金を刷って作る
 3.為替(円とドルのように、2種類のお金の間で交換を行う)
 4.お金をゴミ箱に捨てる
この中で、確実に増え続けるのが1.の利子。
それに合わせて行わざるを得ないのが2.のお金作り。
3.の為替は、平均すればゼロになるのかな?
もし世界中のトレーダーが意図的にうまい交換ばかりしているのであれば、ここでもお金は増えることになる。
4.は犯罪らしい。実際に行う人は、あまりいないと思う。
・・・あっ、破綻したとき紙くず同然になるのか。

注3.貨幣の量が一定で、借金の数字だけが増えていったら、、、
それでも破綻しない方法がありました。
量が一定であっても、お金が回るスピードをものすごく上げれば、借金の増え方をカバーできるかもしれません。
だとすると、今度はお金の回るスピードは、どこまでも際限なく上げることができるのか、という話になる。
そして結局のところ論点は、「お金の総量x回転速度」の上限という点に集約されるでしょう。

* 疑問その2.お金の膨張に合わせて、物価をスケールアップしたら?
でも、破綻は何とか防ぎたい。
お金の総量が増え続けたとしても、何とか破綻を回避する方法はないものだろうか・・・
実は、理屈の上では破綻を避ける方法があります。
お金の膨張に合わせて、モノの値段も変えてゆく、という方法です。
もしお金の量が2倍になったとしても、全ての物価も一斉に2倍にすれば、トータルでは何も変わっていません。
ある日突然、自分の大きさが2倍になったとしても、自分の部屋も、家も、服も、友人も、地球も、世界全体が一斉に2倍に膨らめば、大きくなったことに気付かないですよね。
それと似たような感じで、どんなにお金が増えていっても、それに応じて「お金:モノ」の比率を変えてゆけば、お金の増加分をキャンセルできるでしょう。
お金自体は数字、物価も数字なのだから、どのようにでも調整が効くはず。
そうなると、ここでまた新たな疑問が湧いてきます。
 「なぜ、そもそもお金と物価を変動するような仕組みにしたのか。
  お金も一定、物価も固定、という仕組みではいけなかったか。」
もし、お金の膨らみ方と、物価の上がり方が、まんべんなく均一に行われていたなら、変動も固定も、何ら違いは無いはずです。
しかし実際は、お金の膨らみ方と、それに応じた物価の膨らみ方には、均一どころか、極端なムラがある。
そして、膨張の際に生じるムラこそが、お金儲けの一番の鍵だと思うのです。
お金の世界全体が一斉に膨張していたとして、その中でも特に膨らんでいる部分は「利子を付けているところ」です。
一方物価の方は、利子に比べれば比較的全体に、一様に膨らみます。
だとすれば、利子が付いている部分は、そうでない部分に比べて、圧倒的に得していることになる。
穿った言い方をすれば、この差分を生み出すために、お金の世界は膨張しているのだと思います。
簡単な言い方をすれば、儲かるのは金貸し、何もしないやつはバカ、ってことです。
いまあなたが千円持っていたとして、それを銀行にも入れず、何にも投資せず、タンスの奥にしまっておいたら、、、
実質的に、千円の価値はだんだん下がってゆくことでしょう。
もちろん千という額面自体は変わりません。
しかしお金の世界全体が膨張しているので、その中で変化していない千円の大きさは、相対的にどんどん縮んでいるのです。
で、その縮んだ分はどこに消えたのか。
それは世界のどこかの、利子で膨らんでいるところに足されています。
つまり借金とは、世界全体から薄く広く、まんべんなく価値を集めてきて、利子に付け加えている、そういう仕組みなんです。
借金の仕組みを考えると、何もしないのは損で、とにかく膨らんでいる部分(利子)にお金を集めるのが得策ということになるでしょう。
かくして、お金はできるだけ利子の高い、膨張している部分に集まってきます。
すると、お金の増え方はますます加速することになる。
お金の増え方が加速すればするほど、次の2つの事態が進行することになるでしょう。
 ・膨張ムラによるお金の一極集中。
 ・経済破綻の可能性が高まる。

ここで私は、のっけから利子と借金のことばかりを並べてきました。
でも、お金には利子と借金だけではなく、もっといろんな側面があるのではないか。
利子と借金だけで経済の全てを語るのは、あまりにも片寄った一面だけしか見ていないのではないか。
確かに、借金なんてものは本来、経済の脇役であるべきだと思います。
お金は本来、世の中の流通を便利にする素晴らしい発明だったはず。
でも、ある1つの理由によって、経済の中心はいずれ借金と利子になり、それ以外の側面は取るに足らないものになる・・・そのように私は思っています。
なぜかと言えば、利子は複利であって、指数的に増大するからです。
指数的な増大に比べれば、それ以外の直線的な成長、あるいは、二乗、三乗、といった変化は、いつか必ず追い抜かれます。
なので、時間が経つにつれて、経済全体に占める利子と借金の比率はますます大きくなっていって、いずれ、それ以外の要因を駆逐するはずです。
経済活動全体を眺めてみたとき、利子だけが確実に、指数的に増大しています。
それ以外の実体を伴う要因で、確実に指数的に増大し続けるものって、あまり思い当たりません。※4
現実に世の中の中心は、実体経済〜畑を耕したり、工場でモノ作りをしたり、といったことから、「金融商品」にシフトしつつあるでしょう。
それってつまり、利子と借金が経済の中心を占めているってことじゃないですか。
そう思うと、経済の未来が空恐ろしいものに見えてきます。

注4.利子以外にも、指数的に(あるいは指数に匹敵するほどに)増大するものは無いのでしょうか。
考えたところ、次の2つが思い当たりました。
 1.人口は指数的に増大する。
 2.組み合わせ爆発、組み合わせによる物事の複雑さ。
1.もし人口が指数的に増えたとして、その増えた人たちに等しく平等にお金が行き渡るなら、経済は順当に拡大できることでしょう。
でも、人口が指数的に増えたなら、先に地球と環境が物理的に参ってしまう。
なので、いつまでも人口増加に頼るわけにはいかないと思います。
2.たとえ個々の要素が出尽くしたとしても、その組み合わせは、ほとんど無限にある。
例えば新商品なんてものは、アイデアを組み合わせることによって、無限に開拓できるのではないか。
つまるところサラリーマンと商売人が腐心しているのは、組み合わせのスピードを、お金の膨張スピードに追いつかれないように維持する、ということでしょう。
いまのところ維持できているから、経済が破綻せずに済んでいる。
これがどこまで持つかは、私にも、たぶん誰にも分からないのだろうと思います。

* 疑問その3.経済破綻は最悪のシナリオではない?
以上をまとめると、こうなります。
 ・お金は指数的に膨張する。
 ・もしお金の膨張に実体が追いつけなくなったら、経済は破綻する。
それでは、第3の疑問。
じゃあ、破綻したらどうなるのか。
きっと大混乱が起こって、たくさんの人が失業して、ひょっとすると、飢え死にする人が出るかもしれません。
そして、経済は一度壊滅した後に、再び1から出直すのだと思います。
そう考えると、実は経済破綻には1つの重要な役割があったのだ、ということに気づきました。
それは、上に書いた注2.の4.「お金をゴミ箱に捨てる」という役割です。
放っておけば、お金の総量はどんどん増えてゆく。
もしお金の総量に上限があったならば、限界に達したときに、破綻が生じてリセットされる。
この繰り返しが起こるのではないかと想像されます。
だとすれば、ここで経済の世界的な破綻を防ぐ、いま一つのシナリオというものが考えられます。
それは、普段から、こまめに小さく、部分的なリセットを繰り返す、というシナリオです。
どこかが膨らむのであれば、その分だけ、どこかがしぼめばいい。
これなら世界全体が、一斉に破綻するという事態は防げるでしょう。
部分的なリセットを繰り返す。
それは、世界全体が一斉に経済破綻するよりもマシなのでしょうか。
想像してみてください。
私にはむしろ、一斉に経済破綻した方が、部分的なリセットを繰り返すよりも、まだマシであるように思えます。
どこかが膨らんだ分だけ、どこかがしぼむ。
具体的に、どこがしぼむのだと想像されるでしょうか。
おそらく、最も要領が悪くて、お金を膨張する部分に載せられなかった人たちが、コンスタントに削られ続けることになるでしょう。
膨張する部分は、ほとんど何もせずとも構造的にお金が膨らんでゆく。
一方、しぼんでゆく部分は、常に「小規模の破綻」にさらされていて、どれほどあがいても抜け出せない。
この状態で、世界全体が膠着する。
この膠着状態が、世界的な経済破綻よりももっと悪い、最悪のシナリオであるように思えます。
もっとも、この膠着状態を最悪と取るか、最良と取るかは、立場によって180度変わってきます。
もし自分がうまいこと膨張する側に入り込めれば、これこそが最良のシナリオなのかもしれません。

* 疑問その4.で、どうしたらいいのか。
破綻も、膠着状態も避けなければならない。
おぼろげながら、それはわかる。
では、避けるためにはどうすればいいのか。
もし上の理屈が正しければ、要は利子と借金を無くせば、破綻は回避できることになるでしょう。
現実的に、利子を無くすことは実施可能なのか?
今の世の中を見回す限り、無利子の一斉導入は、ほぼ不可能に思えます。
イスラム銀行は無利子であると聞いたことがありますが。)
結局のところ、うまい回避策が見当たらない。
それが、一番わからない。わかれば苦労しないのだろうけど。
よく言われるように、経済の仕組みって「アクセルだけあって、ブレーキが無い車」みたいなものなんじゃないか。
爆弾が仕掛けられていて、一定スピード以下になると爆発する車が出てくるアクション映画を見たことがあります。
たぶん、止まれない車っていうのが、経済の仕組みを最もよく表しているのだと思います。

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※ もともと出版を意図して書かれた、未発表の原稿です。(もちろん私が書いたものではありません)
※ これが本当によくわかる。
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※ 経済がわからんと思っている方、上の記事に興味を持ってくれた方、近い将来に出しますので、ぜひ見てくださいね。
※ 今のうちから、ちょっぴり宣伝でしたー。