恐い夢

夢って、楽しいものが多いのでしょうか、恐いものが多いのでしょうか?
もちろん人によるかと思うのですが、私は圧倒的に恐い夢の方が多いです。
これまで楽しい夢を見たという覚えがほとんどありません。
大体、何かに追われている夢というのが多いですね。
今回は、私が過去に見た恐い夢ベスト3を書いておきます。
最初に言っておきますが、あまり気持ちの良いものではありません。むしろ、グロいです。
気持ち悪いものを想像するのが嫌だという人は、この先、特にNo.1の夢は、読まない方が良いと思います。

* 悪夢No.3.「人間玉」
地球上に人間が、ものすごくたくさん増えてしまった、という夢です。
ものすごく人口が増えてしまったので、食料が足りなくなります。
どうするか。
実は、その時代の地球ではテクノロジーがとても発達していて、
あらゆる物質を望みのままに変換することが可能となっています。(こういう所だけ、妙に科学的)
そこで、人間は地上にあるものを片っ端から食料に変えてゆきます。
どんどん食べて、それが全部、人間に変わってゆく。
そうして地上のものを全て食べ尽くしてしまった人間は、今度は「地球」そのものに目を向けます。
つまり、大地を食べ物に変換して、食べ始めるのです。
どんどん地面を食べていって、それが全て、人間に変わってゆく・・・
気がついてみると、かつて地球だったものは、全部、人間に置き換わっていました。
宇宙に浮かぶ、肌色のボール、それが「人間玉」です。
人間玉の中身は、人間でびっしり、人間だらけ。
特に真ん中の方は、ラッシュアワーの電車みたいに、ぎゅうぎゅうのすし詰め状態。
しかし、そんな中であっても、新しい人間は次々に誕生します。
人間玉のどこかで「ほぎゃ〜、ほぎゃ〜」といった産声と共に、新しい命が生まれます。
すると、みんなラッシュアワー状態で気が立っているので、むちゃくちゃ怒り出すのです。
「バッキャロー、これ以上、生むんじゃねえっ!」
でも、新しい人間は、構わず生まれてくる。
そして、人間玉はますますぎゅうぎゅう詰めになってゆく・・・
ここで目が覚めた。
・・・改めて言葉に直してみると、どことなくコミカルだなぁ。
夢の恐さが上手く伝えられません。
人間玉のすし詰め状態の中にいると、どこにも行き場のない恐怖に圧迫されて、窒息したような気になるんですよ。
ひょっとして、創り入ってるんじゃないかって?
私以外に証明はできませんけど、創るんだったら、もう少しマシなものを創ります。

* 悪夢No.2.「増える髑髏」
冬の枯野のような、何もない、寂しい野原を、私は一人さまよっています。
空はどんよりとした曇り空、見渡す限り、枯れ草しかない。
私以外に、生き物の影は、何1つ見当たらない。
原野の中に、ちょっとした窪地があって、覗いてみると、そこには一体の白骨が埋もれていました。
真っ白な骨です。
「何だろう」と思って、私は近くにあった木の枝で、髑髏をツンツンとつついてみました。
すると突然、髑髏がパカッと2つに分裂して、2個に増えます。細胞分裂のように。
しばらくすると、この2個の髑髏が、またパカッと2つに分裂して、4個に増殖します。
4個が8個、8個が16個・・・と、次々に増殖していって、瞬く間に窪地は髑髏で埋め尽くされます。
やがて、髑髏は窪地をあふれ出して、どんどん原野に広がって行きます。
私は一目散に逃げ出します。
振り返ってみると、いままで黒かった原野が、髑髏で埋め尽くされて、真っ白になっているではありませんか。
大地がびっしりと髑髏で覆い尽くされて、もう何処にも逃げ場が無い。
私を含む、行き場をなくした人々は(いつの間にか人々に変わっている)、
「もう地上には居場所が無い、宇宙に逃げよう」
と言って、巨大なロケットを作って、みんなで宇宙に逃げ出します。
宇宙から見ると、地球は真っ白な「髑髏玉」になっています。(このパターン、多いですね)
ところが、これで終わりではありませんでした。
地上を覆い尽くした髑髏は、今度は空中に出てきます。
髑髏は宙に浮いて、一定間隔を置いて格子状に、空間を埋め尽くして行きます。
で、ロケットは全力で逃げる。
でも、髑髏は際限なく増殖して、宇宙空間を埋め尽くしてゆく。
地球を中心に、宇宙空間は黒から白へと変わってゆく。
ロケットは逃げる、逃げる、宇宙の果てまで逃げて行く・・・
ここで目が覚めた。
たとえ相手がどんな化け物であっても、一匹だけだったら、何とか逃げおおせると思いませんか?
でも、髑髏は違う、埋め尽くされるのです。
逃げ場がどんどん失われて行く、それが恐い。
言葉に直すと、やっぱり迫力に欠けるのですが、少しは恐さが伝わったでしょうか。

* 悪夢No.1.「人間の河」
この夢は私にとって、特別な意味があります。
というのは、私の普段の夢はほとんどモノクロなのですけど、この夢だけは鮮明なカラーだったからです。
でも、出てくる色は、赤と黒と灰色だけ。
その赤が、他の夢では無いほどに、鮮明に、強烈に浮かび上がる、そんな夢です。
私はどこかの街にいます。
空は分厚い雲に覆われた鉛色、街の建物は黒一色です。
突然、鉛色の空から、真っ黒な物体がバラバラバラ・・・と降ってきます。
しばらく間隔を置いて、また、バラバラバラ・・・と降ってくる。
爆弾です。
飛行機の姿は見えません、雨のように、何の前触れもなく、無から降って湧いてくるのです。
爆弾は黒い街の上に降り注ぎ、ドォーン、ドォーン、と空洞にこだまするように、不気味な音が響き渡ります。
やがて、黒い街が炎上します。
影絵のように、黒い建物の背景が、赤く、赤く染まってゆく。
黒い建物は歪み、上から少しずつ、ボロボロと崩れ落ちてゆきます。
ここで視点が切り替わって、私は街から少し離れた小高い丘の上に立っています。
遠くに赤く炎上した街がある。
その街から、溶岩のように溶け出した、熱い、真っ赤な河がドロドロと流れ出してきます。
溶岩の流れはドロドロと大地を流れ落ちて、私の立っている丘のすぐ麓をよぎってゆく。
その流れをよく見ると・・・それは「溶けかかった人間の河」だったのです!
たくさんの人間が、焼けただれて、血と、内蔵と、骨と、髪の毛が混ざり合ってぐちゃぐちゃになったものが、
河となって、焼けた街から流れ出してくる。
溶けた人間の河の中には、溶けかかった顔が幾つも、幾つも、浮き沈みしています。
その顔には、どれも、これも、恨みを込めた表情が刻み込まれている。
痛み、苦しみ、悲しみ、怒り、、、半分顔が無かったり、骨が突き出していたり、黒髪が無造作に巻き付いていたりする。
そういった無数の苦悶の表情が、血と内臓がごたまぜになった中を、浮き沈みしながら流れ去ってゆく。
ふと地平に目を向けると、燃えている街は1つだけではありませんでした。
あっちでも、こっちでも、目に入る限りの街という街が、燃えている。
そして、そのすべての街から、溶けかかった人間の赤い河が流れ出しているのです。
たくさんの赤い河が、怨嗟の悲鳴を上げながら、黒い大地を横切り、漆黒の闇へと消えて行く。
もし地獄というものがあるのなら、きっとこんな眺めだろうと思います。
目が覚めて直後に感じたのは、「ああ、生きててよかった。」
なぜ、こんな夢を見たのか? このイメージは何処から湧いてきたのか? 私にもわかりません。
私は戦後生まれですし、空襲に遭ったことは一度もありません。
できればもっと楽しい夢が見たいです。

実は、上のNo.1〜3の悪夢は、集中的に同じ時期に見たものです。
しかもすごく昔、小学校の終わりから中学くらいにかけて。
この時期に、私は本当に恐い夢を、立て続けに見ました。眠るのが嫌になるくらい。
では、その時期は情緒不安定だったのかと言えば、そんなことはない。
うまく言えないのですが、むしろ精神活動が高まっていたように思います。
それまで意識が回らなかったようなことにも、気付くようになったというか、そんな感じです。
そんなに高まったのなら、知能が上がったのかといえば、そうでもない。むしろ、学校の成績は下がった。
最近は夢を見る回数も、恐い夢の頻度も、だいぶ減りました。

このブログを始めてから気付いたのですが、どうやら「恐い夢を見る」精神状態でないと、書けない文章というものがあるみたいです。
これなんかがそうです。
* 幸福量保存の法則 >> [id:rikunora:20080618]
* 死後の世界、あるいは天才の作り方 >> [id:rikunora:20080415]
内容の善し悪しはともかく、こういった文章は不安定な状態でないと出てきません。
反対に、精神が安定しているときは、軽い、底の浅い文章しか出てこない。
もちろん安定していた方が、睡眠には良いのですが。
文章(あるいはアイデア)という点で、自分の中でベストが出るのは、不安定な状態から回復した直後の“病み上がり”のときです。
これがそう。
* お金の要らない世の中、働かなくても良い世の中、勉強しなくて良い世の中 >> [id:rikunora:20080420]
残念ながら精神状態は、夢をコントロールできないのと同様、自分でコントロールすることができません。
なので、意図的にベストの状態を作り出すことができない。
別に、私が文章作成の天才だと言っているわけではありません。
誰もが夢を見るのですから、誰もが「自分はこんなものを持っていたのか」と驚くようなイメージを、心のどこかに持っているのだと思います。
でも、そのイメージを形にできるかどうかは、また別の話。
夢を言葉にするのがひどく難しいように、イメージを的確に表現するには、相応の技術が必要です。
でも、もし元になる夢が無かったら、どんなに技術を持っていても、何の役にも立たない。
どういうわけか、私は天から「恐い夢」を与えられたみたいです。
もうちょっと良いものをくれよと言いたいが、まあ、仕方ない。
安眠できる程度に、適当に付き合ってゆくしかありません。