あらゆるコミュニケーションの本質

1.あらゆるコミュニケーションの本質は、ただ1つだけ。
 「私はあなたの味方です」
という強いメッセージを送ること。

これは確か、パソコンの申し子、アスキーの西の言葉だったと思う。
「コンピューター新人類の研究」という本に載っていたと記憶している。(本はどこかにやってしまった)
いかにも実業家らしい言葉だ。
アスキーが好きかどうかはともかく、「コミュニケーション=味方のメッセージ」という割り切りには一理あると思う。
世の中にはコミュニケーションスキルとか、プレゼン能力とか、いろんなノウハウがあるけれど、そのエッセンスは「味方信号」に尽きる。

(高等な)動物には、必ず行わなければならない3つの判断があると言う。
 (1) 敵か味方か
 (2) 食えるか毒か
 (3) 生殖可能か否か
何かに出くわしたとき、この3つを、この順番で、瞬時に行わなかった動物は、絶滅する。
それは人間であっても同じことで、未知との出会いに際して、この三つの判断が瞬時に、自動的に働く。
新規メッセージに対して下される判断は、理論的な中身よりも真っ先に「敵か味方か」なのだ。

味方信号の対極として、
 「私はあなたの敵だ」
というメッセージも確実に存在する。
それでは、味方信号と敵意のメッセージの、どちらがより発信しやすいだろうか。
なんとなく、敵意のメッセージの方が簡単だという気がする。
誰でもイチャモンは付けるけど、「ありがとう」って言う人は数少ない。
だって「有り難い」んだから。
ひょっとしたら内心ありがたいと思っているのかもしれないが、わざわざ口に出して伝えたりしない。
特にシャイな日本人はそうだ。
それゆえ世の中は、どちらかと言えば敵意のメッセージで溢れることになる。
それも一種のコミュニケーションってことになるのかなあ。


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2.あらゆる主張、表現、作品の本質は、ただ1つだけ。
 「私はここにいる」
そうなんですよ、結局言いたいのは、これなんですよ。

こんな言葉を聞いたことがある。
 「あらゆる作品は自画像である」
誰が言ったか知らないけれど。
描けば描くほど、自分が投影されてゆく。
言葉にするとカッコイイけど、実はこれ、そんな高尚な話じゃない。
ネット上のイラストといえば「萌える美少女」と相場が決まっているのだが(?!)、
それを真似して描いてみると、なんとなく自分に似てくる。
いや、かわいいところが似るのではなくて、それ以外の、一見すると細かいところ。
そこに気がつくと、なんか描いたものが嫌になってくる。
でも、自分に似てくる傾向は洗っても洗っても落ちない油汚れのようなもので、どうしようもなくて、あきらめてつき合うしかない。
なぜそこまで自分に似てくるのか。
きっと人間の基準は自分なのだという、単純な理由なんじゃないかな。

「私はここにいる」でググってみたら、「涼宮ハルヒの憂鬱」第二期のキャッチコピーになっていた。
ハルヒ、やるなあ。
あと、アニメ「ほしのこえ」には、「わたしはここにいるよ。」「ぼくはここにいるよ。」という決めゼリフが出る。
こんな例は数挙に暇がないのだろうが、その中でアニメしかひもとけない自分は、我ながらすごく偏っているぞ。
いや、検索結果の上位にアニメが上がってくる、日本のインターネットが偏っているんだ。
でもアニメばっかりだとなんとなく薄っぺらいので、もう少し実のあるコンテンツを見てみよう。
* 私はここにいる「I-AM-HERE問題」
http://musai.blog.ocn.ne.jp/kagakusuru/x9/index.html

・・・理屈はともかく、もう一度、素直に、声を出してこの言葉を繰り返してみましょう。
アイ・アム・ヒア。私はここにいる。
何か、心に響くような気がしませんか? さすがに、才能ある作家が使うフレーズです。意味がないはずなのに、心にしっかり響く。印象が強い。この強い印象は何なのか?
これを「I-AM-HERE問題」と名づけて、拙稿本章のテーマにしたいと思います。
 私は、今、ここに、いる。
 「私は」という言葉、そして「ここ」あるいは「今」という言葉。しみじみと語感を味わってみると、何か実に神秘的な感じがする。詩的な、というか、哲学的といえるような響きを帯びてきます。たぶん、そういうところが、ロマンチックな、文学的表現として好まれるところなのでしょう。

※ この「哲学の科学」、かなりの大作です。頭からじっくり読んでみると非常に興味深い。
http://musai.blog.ocn.ne.jp/kagakusuru/


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3.あらゆるネット上で繰り広げられる議論の本質は、ただ1つだけ。
 「私はこんなに頭が良い」


・・・これで全ブロガーを敵に回したかも・・・
だから嫌になる、自分をも含めて。
意地を張ったつまらない議論は、嫌だなぁ。
そういう議論はやめて、味方信号を送ることにしよう。