すぐれた判断は「統計データ分析」から生まれる
データ分析を仕事に生かすための本を出版いたしました。
- 作者: 中西達夫
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2014/09/20
- メディア: 単行本
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この機会を与えてくださった、実務教育出版の方、編集の方、
そしてこの本を手に取ってくれた方々に感謝します。
■ 正誤表
本書内に誤りが見つかりました。申し訳ございませんが、以下のように訂正をお願いします。
正誤箇所 | 誤 | 正 |
15ページ 4行目 | 3500 | 72 |
16ページ 2〜3行目に2カ所 | 3500 | 72 |
■ 出版よもやま話
さて、この本は、企画の段階では『口べたデータ分析』という仮題が付いていました。
何がどう『口べた』なのか。話は本の企画段階にまで遡ります。
本の企画が立ち上がったとき、
「正直なところ、データ分析って何の役に立つのだろうか?」
というところに議論が及びました。
これが巨大なデータを抱える大手企業やSNSであれば、データ分析の必要性を説くまでも無いでしょう。
では、ごく普通の会社に勤める、ごく普通のサラリーマンだったらどうか。
特別なデータサイエンティストでもない人にとって、データ分析って、本当に役に立つのでしょうか。
いろいろと話した末、出てきた1つの答は、
「データ分析は、口べたの強い味方」
というものでした。
データは公平です。
たとえ話し方が朴訥であろうが、見てくれが悪かろうが、老若男女、
所属組織や立場にも一切関係なく、データは全く同等の効力を発揮します。
どれほど口べたで、コミュニケーション能力が低くて、人と話すのが苦手だったとしても、
データに裏打ちされた事実であれば自信を持って話すことができます。
聞く方の相手だって、しっかりしたデータに基づく内容であれば、無碍にはしないでしょう。
であれば、むしろコミュニケーション能力が低いと感じている人こそ、データの扱い方に長じておくべきです。
私自身、データ分析で個人的に最も助けられたのは、実はデータを用いた話し方であったと思います。
「データを使って、コミュニケーション能力を高める」
これが、当初の『口べたデータ分析』という企画に込められた意図だったのです。
実際に筆が進むにつれ、『口べた』という当初のコンセプトはさほど目立たなくなりました。
最終的には、不器用な主人公がデータ分析の力を借りて困難を乗り切る、というストーリーにとって代わりました。
それでも筆者としては当初の通り、「データ分析は、口べたの強い味方」という主張を端々に込めたつもりです。
ちなみに、主人公の名前は“竹鶴くん”ですヽ(^。^)丿
以下、最終的な書籍では削ることになった、企画当初のイントロ部分を公開します。
■■序章 言葉としてのデータ
■第1位はコミュニケーション能力
もし、1つだけ能力を身に付けられるとしたら、どんな力を望みますか?
知力、体力、行動力、学力、見た目力、女子力・・・
まだまだ続けられると思いますが、この中に必ずや挙がってくるのが「コミュニケーション能力」でしょう。
ここ数年、企業が望む人物像として、コミュニケーション能力を重視する傾向が続いています。以下は経団連による「2013年4月入社の学生の選考にあたって特に重視した点」のアンケート結果です。(2014年1月9日 経団連『新卒採用(2013年4月入社対象)に関するアンケート調査結果』より引用)
コミュニケーション能力が全体の86.6%で1位、次いで主体性、チャレンジ精神、協調性となっています。経団連は2001年から同様の調査を続けていますが、コミュニケーション能力は2004年以来、ずっと1位をキープし続けています。(1度だけ、2003年に「チャレンジ精神」に次いで2位となったことがあります。)
また、経済産業省による企業人事担当者へのアンケート調査によると、「自社で活躍している若手人材(ハイパフォーマー)が共通して持っている能力要素」に対して、コミュニケ−ション力が一番に挙げられています。(平成22年6月 経済産業省『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』より引用)
事の是非はともかく、現代社会が切実に求めているのはコミュニケーション能力なのだと、おそらく多くの方々が実感されていることでしょう。では、そのコミュニケーション能力なるものが生来万人に備わっているのかというと、どうやらそうでも無いらしい。人は千差万別、コミュニケーションが生来得意な人もいれば、あまり得意で無い人もいます。そして得意で無い人にとって、この社会がとても生き難いものになってきていることは、否めない実情です。
■数字とデータの威力
どうすればコミュニケーション能力を高めることができるのか。その答は1つではありませんが、ことビジネスの現場に限って言えば、非常に有効な方法があります。それは、「データを味方に付けること」です。コミュニケーションにデータ? 少々意外に思われるかもしれませんが、データはコミュニケーションの強力な味方なのです。たった1つの数字、たった1枚のグラフが、時として百千の美辞麗句よりも雄弁に結果を物語ります。
例えば、次の文章を読んでみてください。
『近代に入り、人類は歴史上かつてない未曾有の発展を遂げた。文明と科学技術の発展は多大な恩恵をもたらす一方、負の遺産をも残すことになった。現在、地球上の至る所で行き過ぎた成長の爪痕が環境を圧迫し、人々の生存さえ脅かしている。私たちは地球環境に配慮しながら、持続可能な社会を築いてゆかなければならない。』
ご高説もっともですが、この調子で続きが読みたくなりますか? 同じ主張を、データを使ってシンプルに言い換えてみましょう。
『この100年間で、世界人口は4倍に、石油消費量は200倍に増えた。』
先の文章と比べて、かなりインパクトが強くなったでしょう。
さらに、これをグラフにすると、どうなるか。
(国連人口基金東京事務局HPより引用)
(石油技術協会、石油開発の歴史HPより引用)
いかがでしょうか。これが、数字とグラフの威力です。
同じことが、あなた自身を説明するときにも使えます。
『学生時代、私は英語の勉強に力を入れました。英語サークル活動を頑張り、時には遅くなるまで友人とディベートを繰り返しました。』
この説明は、地球環境の例で言えば最初の文章に相当します。決して悪くはありませんが、本当にあなたの頑張りに興味があるのは、あなたに親しい人たちだけであるといった現実も忘れてはなりません。ここにデータを援用すると、どうなるか。
『私が昨年1年間に読んだ英語の論文は26本です。週2回のサークル活動では、毎回2時間のディベートを行い、時には翌朝4時まで議論が白熱することもありました。』
上と下では何が違うのか。下には具体的な数字が入っている、という所が違います。全く同じ内容でありながら、
・勉強に力を入れ → 26本
・活動を頑張り → 週2回、毎回2時間
・遅くなるまで → 翌朝4時と言い換えることで、相手に与えるインパクトが大きく違ってきます。
コミュニケーション能力の1要素として、「論理的に話す」ことが挙げられます。データは論理の骨格です。もちろん、データと数字があらゆるコミュニケーション障害を克服するとは言いません。コミュニケーションという言葉の中には、むしろ数字にできない心の機微を巧みに汲み取る、といった意味合いも含まれているかと思います。ただ、ビジネスの現場、社会が公的に求める能力といった意味合いにおいて、データにはコミュニケーションを司る強い力があります。残念なことに、データや数字に食わず嫌いを起こす人は、決して少なくありません。データや数字は、確かに一見取り付き難い印象はありますが、味方に付ければこれほど頼もしい存在はありません。まず、データは公平です。たとえ話し方が朴訥であろうが、見てくれが悪かろうが、老若男女、所属組織や立場にも一切関係なく、データは全く同等の効力を発揮します。
もしあなたがコミュニケーション能力を伸ばしたいと考えるなら、ぜひデータを操る能力を身に付けて下さい。そうではなく、もともとコミュニケーションは得意だという人がデータを操る能力を身に付けたなら、正に鬼に金棒です!
データの力でコミュ力を高めたいと考えている方、ぜひ一度この本を手に取ってみてください!
(m。_。)m ヨロシクお願いします。