高速の渋滞で最も速い車線

よく、高速道路の渋滞では左端の車線が最も速いと言われていますが、本当でしょうか。
週末郊外に出かけた帰りに、長い渋滞に巻き込まれました。
そこで観察する機会があったので、本当に左端車線が速いかどうか、試してみました。

1.渋滞ができ始めるとき
流れている状態から渋滞に突入するときは、明らかに右側の車線にたくさんの車が溜まります。
もし、どの車線でも車の密度(=車間距離)が同じだったなら、より速く流れている車線の方が、
単位時間あたりによりたくさんの車が通過するでしょう。
この状態で、ある瞬間に突然、渋滞で流れをストップしたら・・・

当然、速く流れていた車線ほど溜まる車の量は多いわけです。
実際、渋滞ができ始めの状態では、先に追越車線がストップして、
左車線の方がより長く遠くまで、だらだら進むように見えます。
ただ現実には、より混んでいる追越車線から、一時的に流れている左車線へ、何台もの車が車線変更してきます。
この車線変更の流れが一段落すると、右車線も左車線も差がない、ほぼ等速度で流れる渋滞に突入します。

2.渋滞の途中(出口なし)
ひとたび渋滞に巻き込まれると、どうやら右車線も左車線も大差ないようでした。
これは、びっしり詰まったトコロテンのようなものを想像すれば良いのかと思います。
・途中に入り口も、出口もなく
・車線変更も少ししか行われない
といった状況では、途中での逆転はほとんど無く、流れは入り口と出口だけで決まってしまうのです。

3.インターチェンジ付近
ところが、出入り口の付近で変化がありました。
高速道路の出口は、ほとんど一番左側にあります。
出口で何台か車が出るので、当然、その数だけ一番左側が空きます。
すると一時的にではあるのですが、一番左側が流れる状況が生じるのです。
見たところ、出口の2km手前くらいからこの流れが起こります。
インターチェンジの出口から、入り口までのわずかな区間は、最も流れやすい部分です。
ところがその後、今度は一番左側の車線に、インターチェンジの入り口から入ってきた車が合流してきます。
すると今度は、先ほど空いた分だけ、一番左側が混むことになります。
もし、インターチェンジで出た車と、入ってきた車の数が等しければ、
結局トータルで左側車線と右側車線は同じなのでしょうか?
よく考えてみてください。
インターチェンジの出口から入り口までの区間が空いている分だけ、一番左側が少しだけお得です。

これが、渋滞時に一番左側が最も速い、一番の理由ではないかと思います。
また、インターチェンジと同じことが、サービスエリア、パーキングエリアでも生じています。
実際に走行した感触でも、やはり一番左側が最もよく進むようでした。

さらに考えれば、理屈の上では次のように車線変更するのが最も早い、ということになります。

1.基本的に左側車線走行、中央車線であっても構わない。
2.インターチェンジ2kmくらい手前に来ると、左側車線に流れが始まる。
  もしこのとき中央車線にいたならば、左側車線に変更する。
3.インターチェンジ出口を過ぎて、入り口から合流する手前まで左側車線を維持。
4.インターチェンジ入り口の合流で混み始める前に、中央車線に変更。
  このタイミングが遅いと入り口合流に巻き込まれるので、タイミングの判断が難しい。
5.中央車線に入ったら、次のインター出口付近まで、そのまま維持 => 1.に戻る。

しかしながら、この図には描かれていない重要なポイントがあります。
それは、これだけちょこまか車線変更して、一体どれくらい時間が稼げるのか、ということです。
仮に、1つのインターで5台の車が出入りしたとして、5カ所のインターを通過したとすれば、
最もうまく車線変更して追い抜ける台数は最大25台です。
25台というと一見大きいようですが、最後の出口ではETC対応ゲートが10台くらいズラッと並んでいるわけです。
ということは、ゲート通過にしてせいぜい2.5台前に行ける程度。
時間に直してもせいぜい1〜2分程度だということです。
その1〜2分のために、命の危険を犯してまで車線変更するのか?
無謀な車線変更は道交法にも触れるので、そこんとこ、よく考えてみてください。

このテーマは検索すると、あちこちで取り上げられているようです。
* 高速の渋滞では左車線の方が速い?
>>http://autoc-one.jp/word/570325/
そして、テレビでも紹介された模様。
* 所さんの目がテン! -- 帰省 渋滞(秘)最速脱出法
>> http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/09/05/0502.html
これはおもしろい。
*「渋滞学」の権威、西成活裕東大教授が伝授!目からウロコの“究極”の渋滞回避術
>>http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090428/1025879/