カロリーメイトと団子と豆腐

ビスケットの破片を大きさ別に数え上げればベキ分布になり、
スパゲッティの折れた断片はポアソン分布に近い形となる。
* フラクタルビスケット、ポアソンスパゲッティ >> [id:rikunora:20091213]
1次元のスパゲッティ、2次元のビスケットとくれば、次は3次元でしょう。
3次元の塊を壊したら、その破片はどんな分布になるのか。
前回のエントリーの評判がよかったので、すっかり調子に乗って、いろいろなものを壊してみました。

3次元の塊で、手近にあって簡単に壊せそうなものって、何でしょうか。
最初に思い付いたのは氷でした。
でも、きっと調べる途中で溶けてしまうでしょう。
次に思い付いたのは、カステラ。
でも、カステラって手でちぎらない限り、なかなか細かい破片に分かれてくれません。
氷とカステラ・・・ならば、カステラを凍らせてみたらどうだろうか。
さっそくカステラを冷凍庫に入れて凍らせてみました。

一晩経って、凍ったカステラを取り出してみたのですが、
イメージに反してカチカチになってはいませんでした。もっと粘りがある感じです。
とにかくやってみるってことで、凍ったカステラを床にたたきつけてみたのですが・・・
ぶつかった角がへこむだけで、全く割れる気配がありません。
カステラ、意外に丈夫だった。実験失敗。

いっそ材料を自作してしまえ、ということで、小麦粉の団子をこしらえてみました。
ホットケーキの粉を水で練って、お団子を作ります。

粘土細工みたいです。けっこう楽しい。

できあがったお団子は、もちもちした感じでした。これだと割れません。
そこで、何日かかけて乾燥させることにしました。

そうこうしているうちに、ある日、都合のよい物体を思い付きました。
カロリーメイト
ちょっと細長いですが、いちおう3次元ってことになるんじゃないかな。
とにかく1箱買ってきて、割ってみました。あべし!

結果は後ほど。

さらに数日、お団子が乾くのを気長に待っているうちに、はたまた都合のよい物体を思い付きました。
豆腐。
こういうのって、食っているときに思い付くんだなあ。
とにかく1丁買ってきて、潰してみました。ひでぶ

結果は後ほど。

小麦団子は乾くのに1週間くらいかかりました。

そしてついに壊すときがやってきたのです。たわば!!

それでは、結果をまとめて並べてみましょう。

カロリーメイト

ビスケットと比べると、素材感が違います。
ボロボロと粉になって崩れやすい感じです。
それでいて、全体がバターのような油でしっとりしているので、粉同士がぺたぺたくっつきます。



並べてみるとビスケットとの違いがわかるのですが、
なんというか、中間クラスの破片が少ない感じです。
細かい粉はビスケットよりもずっと多い。
そのくせ、大きい破片もしっかり残っています。

    〜2.5cm:  4個
  2.5〜1.5cm:  6個
  1.5〜1.0cm: 5個
  1.0〜0.5cm: 11個
  0.5〜0.3cm: 15個
  0.3〜0.1cm: 160個  (グラフの範囲からはみ出し)
  0.1cm〜 : 細かい粉がたくさん


■ 小麦団子

一番手間をかけた小麦団子ですが、一週間乾かしても粘り気が残っていて、
たたきつぶしても破片には割れてくれませんでした。
仕方なく、ひび割れた団子をビニール袋に入れて、めくら滅法に手で引きちぎりました。
ちょっとずるいですが、だいたい表面のひび割れに沿ってちぎれたので、まあ良しということで。



傾向はカロリーメイトの反対で、中間クラスの破片が多いように感じられました。
細かい粉はずっと少な目です。
大きな破片も、似たようなサイズのものが横並びになっています。

    〜2.0cm:  2個
  2.0〜1.0cm: 12個
  1.0〜0.5cm: 21個
  0.5〜0.3cm: 18個
  0.5〜0.2cm: 15個  (グラフの範囲からはみ出し)
  0.2〜0.1cm: 42個  (グラフの範囲からはみ出し)
  0.1cm〜 : あとは細かい粉



■ 豆腐

大きい破片から、小さな破片まで、全て取り揃えてあります。



並べきれなかった粉もたくさんありました。

水が茶色くなっているのは、あくまでも破片を見やすくするためであって、
決して味を良くするためではありません・・・

    〜4.0cm:  3個
  4.0〜3.0cm:  4個
  3.0〜2.0cm:  7個
  2.0〜1.0cm: 15個
  1.0〜0.5cm: 46個
  0.5〜0.3cm: 132個  (グラフの範囲からはみ出し)
  0.3〜0.1cm: 327個  (グラフの範囲からはみ出し)
  0.1cm〜 : 細かい粉がたくさん



さて、それでは結局のところ3次元の塊は、2次元の破片とは違っているのでしょうか。
結果を見る限り、2次元のビスケットと3次元の塊では、ほぼ同じような様相を示しています。
並べてみた感触からわかったのは、2次元、3次元といった形状の違いよりももっと重要なのは
「素材の粘り具合」でした。
素材となる粒子がお互いにくっつき合う強さ、とでも言えばよいのでしょうか。
カロリーメイトは最もばらばらになりやすく、小麦団子は最も粘ってくっつく。
豆腐はその中間くらい。
粘り具合が違うと、中間サイズの破片の量と、細かい粉の量に差が出ます。
         : 粘り小 | 粘り大
 中間サイズの破片: 少ない | 多い
 細かい粉の量  : 多い  | 少ない
それぞれのグラフに重ねてある2本の曲線は、
y = 1 / x^2 と y = 1 / x^3 を目分量で拡縮して重ね合わせたものです。
これだけのグラフだとわかりにくいのですが、要は 1 / x^k の係数 k が、
素材によって変わってくる、ということみたいです。