生態系水槽

我が家の玄関先には小さな水槽があって、いろんな生き物を飼っていました。
飼っているのは身近な生き物で、金魚すくいでもらった金魚とか、緑ガメ、どじょう、ザリガニなどです。
たいていは1〜2年で死んでしまったので、そのつどまた新しい生き物を入手してきました。
現在飼っているのは金魚とクチボソ。
金魚の方はもう3年くらい生きているので、いままでの中ではけっこう長生きです。
クチボソの方は1年くらい。
飼ってみると、いろいろ分かってくることがあります。

1つは「水換えには注意せよ」ということです。
水を急激に入れ替えると、生き物はそのショックで死んでしまうことがあります。
なので、あるときから水の全取り替えをやめて、だんだん取り替える量を少なくしてゆきました。
最終的には水を全く替えずに、ときどき不足してきた分をつぎたすだけにしました。
この状態で、もう半年近く水を取り替えていません。
その結果どうなったか。
水槽が、ほぼ全面緑色になりました。
でも、特に水が臭くなるようなこともなく、金魚もクチボソも元気です。
むしろ、この状態になったからこそ元気でいるのだと思います。
藻が集まっている緑色の部分を取り出して顕微鏡で見ると、プランクトンがたくさん居るのがわかります。
どうやらかなり良い生態系になっているようです。
こうなると手入れの必要がほとんど無くなります。
ずぼら向けの、楽ちん水槽なんです。
実のところ冬場は比較的変化が少ないので、本当の山場は今年の夏でしょう。
夏は藻が茂って、壁面にヌルヌルとかが出てくるので。

これがその水槽。
手前のカドに金魚がいます。
金魚は、見ると必ず「餌くれ、餌くれ」をやります。
水槽の奥には台を置いて、その上に植木鉢がのっかっています。
植木の方もこの場所が気に入ったらしく、よく茂っています。

上から見るとこうなっています。
緑になっていないのは、植木鉢の手前くらいのものです。

水槽が決定的に緑色になったのは、クチボソを入れてからです。
このクチボソは、近隣の公園で釣りをしていたおじさんからもらったものです。
池にあったモジャモジャした水草と、ミジンコみたいな小さな虫をたくさん、いっしょに持ち帰りました。
これを金魚の水槽に入れたら馴染みが良くて、以後、水槽は藻のジャングルになりました。
結果的には、これが良かったようです。
「生態系を作るには、その土地にもともと居る生物を集めてきて、もともとあった環境にするのが良い」
そんな話を聞いたことがあります。
近所の池からそのまま切り取ってきたものが、いちばんその場所に適していたわけですね。

このクチボソ、たいへん臆病で、めったにお目にかかれません。
藻のジャングルの中か、隅に置いた植木鉢の裏側に隠れています。
なので我が家では「幸せのクチボソ」と呼んでいます。
このクチボソを見ると、何か幸運なことが起こりそう・・・
そのくらい見つけることが難しいんです。
3日とか、一週間くらい見かけないこともザラ。
小さな水槽なのに、なんでだろう? ネッシーみたいなやつだ。
下の写真は、めったに見られない瞬間を捉えた貴重な映像です。

唯一のチャンスは餌を入れたとき。
一日一回だけ、パラパラ程度に入れます。
あまりたくさん入れると余って水が汚れそうなので、ほんのちょっぴりしか入れません。
金魚は目立つし、臆病でもないので、すぐにわかります。

この水槽を見ていると、2匹の魚を生かすのに必要なものの量がわかります。
水槽に入ってくるもの:
・1日1回、餌がほんのちょっぴり。
・水が減ったら補充(10日〜1ヶ月に1回程度)
・窓越しの日光
半年くらい水を交換していないのだから、これで上手くいっているのでしょう。
誰でも気付くのは、とにかく緑がいっぱいだということです。
最近は環境問題への関心が高まっていて、地球上の緑を増やそう、といったことが盛んに言われます。
それでは、地球上にどれだけ植物があれば充分なのか。
いろんな数値を挙げられても、いまひとつピンときません。
おそらく体感的に、この水槽くらいではないでしょうか。
スペースコロニーとか作ったら、きっとこんな感じになるのだと思います。
※ 閉じた環境で生態系を作る試みとして、バイオスフィア2という実験施設があったそうな wikipedia:バイオスフィア2