キーボードの掃除に失敗

キーボードに思い切りジュースをぶちまけてしまった。
幾つかのキーが反応しなくなった。乾かしてもダメ。
これは中身を洗うしかない思い、キーボードをばらばらに分解してみました。

これがバラバラになったキーボード。
着目して欲しいのは、写真中央上部にある、ペカペカした透明のシート。
実はこの薄いシートがキーボードの本体なのです。

これです。ちょうど、クリアホルダーの表面に回路の線を印刷したようなものです。

めくると3枚のシートに分かれています。
上下の1枚目と、3枚目に回路の線が入っています。
サンドイッチされている中央2枚目のシートには回路の線は無くて、キーの位置に穴が空いています。

この3枚のシート、実はスイッチの役割を果たしているのです。
2枚目のシートがあるおかげで、1枚目と3枚目のシートの間にはほんの少しだけ隙間が空いています。
2枚目のシートに穴が空いている部分を上からギュッと押すと、1枚目と3枚目が接触します。
この接触部分には回路の線があって、線同士が触れることによってスイッチとなっているのです。
こんなペラペラなシートがキーボードの本体だったとは、ちょっと驚きです。
この3枚のシートは、ただ1点だけで貼り合わせてありました。
貼り合わせの工程にも、徹底的なコストダウンの姿勢が伺えます。

ジュースをこぼして動かなくなった原因は、シートの間にジュースが入り込んでいたからでした。
一度水がしみこんでしまうと、なかなか乾きません。
たとえ乾いたとしても、接点の間にジュースが入り込んでしまったら、元には戻らないでしょう。
3枚のシートをお湯で洗って、ジュースを落としました。
よく乾かしてから、組み立てに入ります。

これがキーの裏側です。
1つ1つのキーの裏側には、ゴムでできた吸盤みたいなものが付いています。
キーを叩くと、この吸盤が潰れて、先ほどのペカペカのシートを押すという仕組みです。
つまり、キーを叩いたときの手応えは、この吸盤を潰したときの手応えだったのです。

組み立て途中。
当初分解したとき、ここには埃がびっしり詰まっていました。
それでもうまくできていることに、キーの隙間に入った埃は全くと言って良いほど
内部のペカペカに入り込んでいませんでした。

これで組み立て完了。分解掃除したおかげでピカピカになりました。
外見がきれいになったので、元通りに治っただろうと思って使ってみると・・・
全然ダメでした! あちこちのキーが反応しません。
あのペカペカのシートが、いかに微妙なところで動作しているのか、よくわかりました。

今回分解したキーボードは「メンブレン方式」というタイプのものです。
メンブレンというのは「膜」のこと。つまり、あのペカペカのことです。
キーの裏にあるゴム吸盤は「ラバードーム」と言うらしいです。
メンブレン方式は制作コストが安いので、最も普及しています。
他には、メカニカルスイッチ方式、静電容量無接点方式などがあります。
>> wikipedia:キーボード (コンピュータ)

分解掃除がいつでも失敗するかというと、そんなこともなくて、
ちゃんと成功されている方もいるようです。
* 鍵盤ぶんかいくん(キーボードの分解掃除)
>> http://www.au-au.org/blog/2007/05/post-52.html

結局キーボードが壊れてしまったので、新しいものを購入しました。
せっかくだから良いものをということで、ダイヤテック FILCO Zero。

ペカペカシートではなくて、1つ1つのキーにスイッチが入っている、
カニカル方式というやつです。カチャカチャした打ち心地が良い感じです。
Majestouch スイッチというものを使った上位機種もあるのですが、購入したのは日本製。
店頭で試しに打ってみたら、私にはこれで十分かなと。
今後はキーボードの近くでジュースを飲むのは止めよう。