アメリカン・マインドの強み

半年くらい前から「初音ミク」に首ったけである。
勢いにあかせて「ミクの歌って覚える統計入門」http://miku.motion.ne.jp/ というサイトまで作った。
どうぞよろしく。

私はこれまで、本当に音楽とは無縁だった。
好きな曲とかも特に無いし、歌手の名前も全く知らない。
普段から音楽を聞く、という習慣が無い。
いままで買ったことのあるCDの数は間違いなく100枚以下、下手したら30枚にも満たないんじゃないか。
ここまで音楽と無縁な人間を引きずり込んだ初音ミクのパワーは、なんだかすごい。

ついこの間「ピアプロhttp://piapro.jp/ というサイトに登録してみた。
ピアプロ」というのは、初音ミクを初めとするVOCALOIDで作った曲やイラストを投稿するサイトだ。
登録してみると、私のようなド素人にでもちゃんとコメントが返ってきた。
コメントがもらえるのが、こんなにうれしいとは思わなかった(感謝!)

ピアプロ」の良いところは、「どんなにしょーもない投稿でもバカにしない」ことだと思う。
有名な某掲示板にせよ、よく話題に上がる動画投稿サイトにせよ、
見ていると「厨房はおととい来やがれ」みたいな発言が数多く見受けられる。
これが人の本音なのかもしれないが、これだと小心な新参者は入ってこれないだろう。
なので、ピアプロのような「互いに認め合う」場は、大事に育てて欲しいと思うのだ。
(この「はてな?」もわりとそれに近いのだろうか。)

「どんなにしょーもないことでもバカにしない。」
この空気は、ふとアメリカ的だと思った。
よく言われることなのだが、アメリカの良いところはオープンであり、それに比べると日本の集団は入り込む敷居がとっても高い。
これは、私自身が感じたことなので、以下に記しておこう。


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アメリカ抜きで世界は語れない。
最近のグローバル化への反発や、サブプライムの破綻など、ちょっと勢いを失ったように見えるが、それでもやっぱりアメリカはすごい。

私は以前、一度だけアメリカに行ったことがある。
長期滞在とか、そんな大げさなものではなく、ほんのちょっとだけだ。
ほんのちょっとだけではあるのだが、そのときに受けたアメリカ人の印象はこんな風だった。

★ とにかく、どんなつまらないギャグにも受ける。
アメリカンジョークは真実だった。
とにかく、ごくささいなことにもよくはしゃぐ。
こいつらには「しらける」という概念は存在しないのではないか。
細かい点は忘れてしまったが、確かこんなジョークを飛ばしていたように覚えている。

その1: Windowsの操作には、とにかく処理に時間がかかる場面が多い。
何かの待ち時間に、「これじゃ Windows PW (Please Wait) だ」とぼやいたら、これが大いに受けた。
その後、Windows PW はお気に召したようで、何かと「Please Wait, Pleas Wait!」と言っては喜んでいた。

その2: 当時はポケモンが流行っていたので、これが話題になった。
そこで、「日本には変な和製英語がたくさんある。ポケモンというのは Poket Monster の略だ」といったら、これが大受けした。
みんなで「Poke Mon, Poke Mon!」とはしゃいで喜んだ。
後で気付いたのだが「Poket Monster」というのは、実は「アレ」のことだったのだ。
・・・これはアメリカ人ならずとも喜ぶかもしれない。

何を言っても「しらけない」という環境は、素晴らしいことに思える。
ジョークばかりでなく普段から、どんな素人くさい、見当はずれと思えるような意見でも、
 ・とりあえず聞いてくれる。
 ・とりあえず取り上げてくれる。
のである。
これは特に、右も左もわからぬ新参者にとってはありがたい。
この空気の中では「言いにくいこと」が無いのだ。
まあ、彼らとて人間だから、言いにくいことが無いはずはない。
だとしても、言いにくい敷居が極端に低いのである。

逆に見れば、もしアメリカ人が日本に来たら、人の輪が極端に閉鎖的に感じられるのではないか。
自由化にせよ、文化比較にせよ、何かにつけ「日本人は閉鎖的」だと言われる。
ひょっとして「しらける」という言葉は日本をダメにしているのではないか。
つまらないジョークにも大いにウケた方が、人生得をしているのではないかと思った。

★ とにかく、友達になるのが簡単。
ほとんど挨拶がいらない。
もちろん挨拶が無いわけではないのだが、極端に短い。
「Hey!」の一言だけで良いのだ。
その後、いきなり本論に入る。
本論が無ければ、つまらないジョークで構わない。
とにかく、話題に入るまでのアプローチがとっても短いのだ。
これも新参者にとってありがたいことだ。
これなら女の子に声をかけるのも簡単そうだな、などと思ってみたりもした。

★ とにかく、隙間なくしゃべる。
これには辟易した。
常に、コンスタントに何かしゃべらなくてはならない。
内容がどんなにつまらなくても、言うことがなくても(?!)しゃべっている。
どうやら「黙っている=不機嫌」ということらしい。
なので、何でもいいから、とにかくしゃべり続けないといけない。

★ いただきます、が無い?
英語で「いただきます」って何て言うんだろう?
「Let's eat.」あるいは、「Let's have a lunch.」だろうか。
しかし、この「直訳」はどうも的を得ていないように思える。
私には、どうも日本で言うところの「いただきます」が無いように感じられた。
途切れることなく会話が続いて、そのまま食事になだれこむ、といった感じなのである。
同様に、「ごちそうさま」に相当するものも無いように思える。
辞書を引いても、ぴったりする単語は載っていなかった。
代わりに「It's delicious!」とか言って、料理をほめたりするのである。
そして、食前、食中、食後も流れるように、ずっと何かをしゃべり続けているのだ。

★ とにかく、オーバーアクション
これは私の話ではなく、近しい同僚の話。
例によって途切れなく会話が続いている中で、ふと
「○○さん(同僚のこと)は、本当に楽しいと感じているのかな?」
尋ねられたそうだ。そこで、
「いや、私は大いに楽しんでいる。これが私が最大限楽しいと思っている顔なんだ。」
と答えたそうな。
すると、これが大いにウケたようで、以後
「○○はあまり表情が変わっていないようだが、あれで楽しいと思っているんだ。」
と言われ続けたらしい。

大体において、日本人はアクションが小さい。
もっともこれは無理に変える必要もなくて、この表情のままで充分楽しめば良いように思えるのである。