ピタゴラスの定理と内積の関係

ピタゴラスの定理、おそらく数学で最も有名な定理の1つではないでしょうか。
『直角三角形の、直角を挟む2辺それぞれの長さの2乗の和は、残る斜辺の長さの2乗に等しい。』

歴史も古く、使いどころも多い“役に立つ”定理なので、これまで幾多の証明方法が考えられてきました。
ピタゴラスの定理 100の証明法」なんていう本まであったりします。

ピタゴラスの定理 100の証明法―幾何の散歩道

そんな数ある証明の中で、私がいちばん美しいと思ったのが、これ。


・赤い直角三角形を4枚並べて、上の図のような正方形を作ります。
・左側の正方形で、真ん中に空いた水色の正方形の面積は c^2 。
・右側の正方形で、すきまに空いた2つの正方形の面積は、a^2 + b^2 。
・左右の正方形は同じ大きさだから、水色の面積は等しいはず。なので、
    c^2 = a^2 + b^2

さて、このピタゴラスの定理の証明は、実質的に「ベクトルの内積」と同じことを言っています。
「ベクトルの内積」とは下の図に示す、ベクトルの長さと角度、座標についての関係のことです。

『ベクトルの内積 |A||B|cosθは、各成分ごとの積を足し合わせた値に等しくなる。』
知っている人にとっては“半ば常識”とも言える内積の関係ですが、
改めて「なぜこうなるのか」と問われると、不思議ではありませんか。
そこで、上の「ピタゴラスの定理の証明」を頭の片隅において、ちょっと以下の記事を見てください。

* なぜ内積は成分同士の積になるか >> d:id:rikunora:20130614

この内積の証明が、ピタゴラスの定理と全く同じであることが見て取れたでしょうか。
2つは同じ話だったのです。ただ、ちょっと表現方法が異なっていただけです。