トライアスロン3競技のバランス

トライアスロン3競技のうち、どの競技が強い人が最も有利だろうか。
トライアスロンとは、水泳+自転車+ランニングの合計を競う競技です。
もちろん3競技とも万遍なく強い人が一番速いのでしょうが、人間には得意、不得意というものがあります。
また、こんな噂話も耳にします。
・自転車の競技時間が最も長いのだから、自転車が強い人が有利。
・一番最後に行うマラソンが強い人が有利。
果たして、3競技の得意-不得意によって有利-不利があるのだろうか。
実際のトライアスロンの結果データを元に検証を行ってみました。

検証に用いたのは、今年(2013年)の、第25回伊豆大島トライアスロン大会の結果です。
このトライアスロン大会は、水泳1.5km、自転車40km、ラン10km、いわゆるショートと呼ばれるタイプです。
この大会データを選んだ理由は、
・私自身が参加したから >> [id:rikunora:20130611]
・結果がWEBで公開されていて入手可能 >> http://www.mspo.jp/island/result/13oshima_result.pdf
・完走者が300人という、手頃な人数
ということです。

まずは、水泳、自転車、ランニングの各競技と、結果タイムをプロットしてみました。



以上のプロットから分かること。

1.水泳だけが他の2競技と比べて、回帰直線の傾きが急。
  自転車とマラソンの傾きは、ほぼ一致している。
  (水泳 2.64、自転車 1.98、ラン 1.99)
2.水泳だけが他の2競技と比べて、回帰直線へのあてはまりが悪い。
  自転車とマラソンのあてはまりは、ほぼ一致している。
  (R2 = 水泳 0.56、自転車 0.79、ラン 0.78)

まず私が驚いたのが、自転車とランニングでは、総合結果に対する影響がぴったり一致していることです。
プロットを見ても、自転車のグラフにある点の塊を、そのまま左に移動したものが、ランニングの塊となっているでしょう。
これが何を意味するかというと、(ショート)トライアスロンのルール設定が、
自転車とランニングが対等になるように上手く定められている、ということでしょう。
確かに、自転車の方がランニングと比べて平均的な競技時間が長いのですが、
結果に対する影響から見ると、「自転車40km = ランニング 10km」という等式が成り立ちそうです。
ということで、第1の結論
 「自転車.vs.ランニングという比較では、全くの対等。どちらが有利、不利ということは無い。」

こうなると、他の2競技に比べて、水泳だけがやや特異な位置付けにあると言えそうです。
実際、水泳のタイム変化が総合結果に及ぼす影響の方が、他の2競技よりも、ばらつきが大きい。
ということは、仮に「水泳が得意な人」「自転車が得意な人」「ランが得意な人」の3人がいて、
「得意」のレベルが同じ程度だとしたら、「水泳が得意な人」が最も不利ということになります。
第2の結論
 「水泳が得意な人が、やや不利。」
実際、自転車、ランよりも、水泳の方が差が付きにくい。
これは経験的にも納得できるところです。
なぜ水泳の重みが少ないのか。
はっきりした理由は分かりませんが、もし水泳が現在の2倍の 3km になったとしたら、
私だったら、水泳を異様に偏重していると感じます。
きっと、水泳だけが溺れるという危険性をはらんでいるので、やや短めになっているのではないでしょうか。

次に、3つの競技それぞれの結果に、どの程度の相関があるのかを調べてみました。



 水泳x自転車の相関係数 = 0.5279
 自転車xランの相関係数 = 0.6518
 ランx水泳 の相関係数 = 0.5167
自転車xランの相関がやや高く、水泳x自転車と、ランx水泳はほぼ同じ値でした。
考えてみれば当然のことで、自転車とランはどちらも「足」なので、相関が高い。
比べて水泳だけが「手」なので、相関は低くなる。
ちょっと面白いのが、水泳から見た場合の、自転車とランニングが同じ相関を示していることです。
ここにも、自転車とランニングの“同等性”みたいなものがあると解釈すれば良いと思います。

以上は完走した選手300人の結果なのですが、以下、女子19名だけを抜き出したプロットを付け加えておきます。





大まかな傾向は、全体と一致しているということで。
男子だけのプロットは省略。
というのは、少数の女子だけを除いた男子のプロットは、全体のプロットとあまり変わらなかったからです。

最後に、年齢と総合結果の関係をプロットしてみました。

プロットを見て驚いたのが、「年齢と結果は、ほとんど関係が無い」という事実です。
確かに、回帰直線を引けばほんの少し右上がりにはなります。
でもそれは、傾き 0.0003 という小さな値でしかありません。
プロットの様子を見ても、あてはまりを見ても、年齢は結果にほとんど影響を与えていないのです。
これは中高年に嬉しいニュースというべきか、
50代、60代でもまだまだ行けるということをデータが示しているわけです。
ちなみに、この大会の最高齢者は70歳でした。
さらにこの、大島トライアスロンでは、年齢ハンディキャップという制度を導入しています。

(過去5年間のデータにより算出)
※18才以下は、年齢が1才減るごとに1分ずつ減算されます。
(例:15才は4分、18才は1分を実際のタイムより減算します。)
※19才〜35才はハンディキャップ無し。
※36才以上は年齢が1才増えるごとに1分ずつ減算されます。
(例:36才は1分、50才は15分を実際のタイムより減算します。)
    http://www.mspo.jp/island/13point.html

主催者側がどういった算出方法を採ったかわかりませんが、
ぱっと見で、高年齢にかなり有利なのではないかと思います。
(そして、それが悪いことだとも思いません。)

ということで、トライアスロン上位入賞を狙うなら、
・とにかく60、70になっても、長く長く続けて、
・年齢ハンディキャップのある大会に出場する
という“シルバー戦略”が有効であろうと画策しております。。。


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