ウーパールーパーの野性

ウーパールーパーをご存じでしょうか。

本当の名前はメキシコサラマンダーという、サンショウウオの一種です >> wikipedia:メキシコサラマンダー
我が家では、知人からもらったウーパールーパーを飼っていて、かれこれ2年以上生きています。
このウーパールーパー、実にのんびり屋さんと言うべきか、のほほ〜んとしていると言うべきか、
とにかくダラダラしている生き物なんです。

まず、普段はめったに動きません。
いつも水底でじーっとしていて、ときどき思い出したように場所を変える程度。
水槽に餌を入れても、すぐに食べたりはしません。
しばらくぼーっとしていて、なんとなく餌の近くに寄ってきて、だいぶ経ってからパクッと飲み込むのです。
いちばん間抜けだな、と思うのは、餌が頭の上に乗っかったとき。
餌が頭の上や、鼻先に乗っかっていても、ウーパールーパーはまるで気付いていないように見えます。
見ていてもしばらく食べようとしないので、いいかげん飽きて他所見をしていると、いつの間にか餌が無くなっている。
何とものんびりした食事っぷりです
そんなウーパールーパーを見ていると、果たしてこの生き物は野性の環境で生きていけるのだろうか?
という疑問が沸き起こってきます。
事実、ウーパールーパー絶滅危惧種に指定されているらしい。
確かに、こんな生活をしていたのでは、厳しい自然環境を生き抜くのは難しいだろうと思うのです。
(現在出回っているのは日本国内で飼育繁殖したものです。)

さて、我が家の水槽では、ウーパールーパーと一緒に別の生き物も飼っています。

近所のどじょうすくいイベントでもらってきた、どじょう。
こちらも普段、水底にじっとしていることが多いので、お互い喧嘩せず、長いことやっています。
たまに水底で隠れ家が重なり合うと、びっくりしてそれぞれ別の場所に移動する、といったことを繰り返しています。

最近、少し水槽がさびしいかなと思い、新しいメンバーを追加することにしました。

「たなご」です。
近所の熱帯魚屋さんで、3匹買ってきました。(お値段1匹150円だった)
大きさ3〜4cmくらいの、かわいらしい魚です。
水槽に放すと、すぐに物陰に隠れます。
そのうちの1匹が、ウーパールーパーの隠れていた物陰に一緒になって入りました。
もともとじーっとしている生き物なので、居ることに気付かなかったのでしょう。
すると・・・

パクッ!
目にも止まらぬ速さで、ウーパールーパーがたなごを飲み込んだ!!
いや、飲み込み切れずに口にくわえたまま、尻尾が外に出ています。
慌てて棒でつついたり、引っ張ったりしてみたのですが、もう離しません。
まさか魚を生け捕りにするとは、、、ウーパールーパーをすっかり舐めていました。
たなごは、ウーパールーパの頭くらいの大きさがあります。
こんなに大きな魚を、まさか食べることはないだろうと思っていたのですが。。。甘かった。
残りのたなごは、すぐ別の水槽に避難させました。

しかし、ウーパールーパーにとって、さすがにたなごは大きすぎたようです。
口に咥えても飲み込むことができず、4〜5時間ほど上の写真のような状態で、ずーっと咥えっぱなしでした。
そして最後に、ついにあきらめて、咥えていたたなごを吐き出したのです。
驚いたことに、たなごはちゃんと生きていました。
すぐに回収して別の水槽に移したのですが、残念ながら、1日後には弱って死んでしまいました。

野性のウーパールーパーは、こうやって生きていたのです。
普段、じーっと動かないのは、たまたま近づいてきた魚に気付かれないようにするため。
そして、餌を食べるその瞬間だけは、普段からは信じられないようなスピードで食い付くのです!
これがウーパールーパーに与えられた捕食能力なのであり、
普段ボーッとしているウーパールーパーは、この能力だけで生き長らえてきたのでしょう。
 教訓:ウーパールーパーとたなごを一緒に飼ってはいけない。
  (ただし、どじょうは飲み込めないから大丈夫。)

そういえば、人間にもウーパールーパーみたいな奴って、いるよなぁ。
普段ボーッとしているけど、パクッって食べるその瞬間だけはメチャ速くて、
その能力だけで生きているみたいな・・・
※ 生態系水槽 >> [id:rikunora:20090322]