Macintoshの思い出
私がコンピュータ関連の仕事に就いたきっかけは、Macintoshとの出会いにありました。
当時、ようやく16bitパソコンが世に出回り始め、PC-98が全盛だった頃、
学校に1台の見慣れないパソコンがありました。
小ぶりな可愛らしい箱型の筐体に、白黒の画面、左下に小さな虹色のリンゴマーク。
Mac Plus というパソコンでした。
・・・衝撃でした。
何に驚いたかって、まずこれが初めて見た Window System だったこと。
次に触ってみて驚いたのが、その使い易さ。
他のマシンや端末の、いかにも「素人は触るんじゃねー」みたいな面構えの中にあって、Macは異端の存在でした。
当時のコンピュータというものは、使う人が勉強して機械に合わせるものでした。
パソコンを使う=プログラムを組むということであり、
スイッチを入れて最初に出てくるのは黒い画面に「Ok」の2文字だったのです。
そんなところに、初めて見たウィンドウ、マウスでクリックするメニューやボタン、デスクトップ、フォルダ・・・
Macだけが、機械を使う人に合わせようとしていました。
Macの使い易さに驚いた私は、どうしてもそれが欲しくなりました。
そこで、秋葉原中を探して中古の Macintosh SE を手に入れました。
私が最初に購入したパソコンです。
中古でも30万円しました。当時、Macは高かったのです。
SE のデザインは、とにかくスマートでカッコよかった。
その後、仕事でいろんなパソコンを見てきましたが、
今でも一番カッコいいのは Macintosh SE だと思っています。
パソコン本体と同時に、プログラミング言語も入手しました。
Pascal言語でした。(記憶違いでなければ、確か Turbo Pascal だった)
当時はC言語が流行る直前で、Mac OS は Pascalで記述されていました。
で、この Pascal言語に触れて、私は2度目の衝撃を受けました。
「構造化」という名の衝撃です。
「構造化」とは何か。
それは、小さなプログラムの部品(サブルーチン)を、ちょうどピラミッドのように下から順番に、
三角形に積み上げて、全体を形作るという考え方です。
“全体は部分から成る”
構造化はコンピュータの動かし方のみならず、広く「物事の考え方」に適用できる、斬新な概念だったのです。
ウィンドウシステムと構造化。
どちらも現在では当たり前の、ありふれたものになりましたが、
登場した当初は、それこそ「世界を変える」くらいのインパクトがありましたね。
そのおかげで、少なくとも私という一人の人間がコンピュータを志すようになったわけですから。
・・・・・
それからずいぶんと時間が経って、つい先日、私は新しいMacを購入しました。
SE に比べるとずいぶんと薄くなったけれど、デザインとカッコ良さは変わっていませんね。