KEKをガイガーカウンターで測ってみた

先週末の9/4、KEK(高エネルギー加速研究機構)の一般公開に行ってきました。
KEKとは、粒子加速器を使って先端科学の研究をするところ >> http://www.kek.jp/ja/
簡単に言えば「エヴァンゲリオンポジトロンライフル」が置いてあるところだと思えばよいでしょう。
広大な敷地内に点在する工場のような研究棟。
中に入ってみると、膨大かつ緻密なメカの迫力に驚かされます。

* 電子陽電子入射器ライナック
電子と陽電子のビームを作り出すところ。全長700m。地震で被害を受けていて、修復中でした。

* フォトンファクトリー PFリング
“夢の光”と呼ばれる放射光を作り出す加速器。一周187mの楕円形。
この光を使っていろんな分析ができる。「はやぶさ」の微粒子の分析も、ここで行った。

* Bファクトリー加速器 地下トンネル
地下4階の大トンネル内に設置された、一周3kmの大型加速器

世界最高の性能(ルミノシティ)。ノーベル賞を受賞した小林・益川理論の検証にも使われたのだそうだ >> [id:rikunora:20090222]

* ARES空洞、電磁波エネルギーを蓄積するための空洞装置。

この他にも一般公開では、実験、講演会、イベントなどが盛りだくさんで、とても1日では回り切れません。
本当はもっと他にも見て回りたかったのですが、時間が足りなかった。
日本に住んでいるなら、一生に一度は見に行くべき。

さて、加速器というものは、粒子に強烈なエネルギーを与えて衝突させるわけですから、
きっと周辺に強烈な放射線を発しているだろうと想像されます。
たとえその場で運転していなくても、衝突実験時に飛び出した粒子の破片みたいなものが、
今でも放射線を発しているかもしれない・・・あまりにも素人考えでしょうか。
とにかくこの想像を確かめるべく、我が友人K氏は、今回の一般公開のチャンスに
ガイガーカウンターを持って加速器に近づいたのでありました。
以下は、K氏の報告になります。

これが持って行ったガイガーカウンター

91年のウクライナ製。海外オークションで入手。
どことなく現場をくぐり抜けてきた重みを感じさせます。
比較対象にセシウム137が置いてあったので、さっそく測定。
距離30cmで0.27μSv/h という値を示していました。
では、いざ加速器の地下トンネルへ。

計測値 0.08μSv/h。ぜんぜん低い!
ならば、ここはどうだ。

計測値 0.39μSv/h。ホットスポット発見?。でもたいしたこと無いな。
ここはどうだろう?

「入射点」と書いてある。
計測値 0.25μSv/h。通常の場所よりも粒子の流れが乱れるのだろうか。
いずれにせよ、計測値は全く安全と言えるレベルでした。
K氏曰く、ホットスポットと呼ばれている地域よりずっと低い値で期待外れ(?!)だったとのこと。
結論: 加速器の近辺から異常な放射線は検出されなかった。

後から知ったのですが、加速器の周辺に放射線という考えは決して的外れではなくて、
研究施設では放射化物を厳重に管理しているようです >> KEKでの放射化物の管理