現代経済学の直観的方法

経済とは何か、その疑問に真っ向から応えるスペシャルコンテンツのダウンロード販売を開始します。
タイトルは「現代経済学の直観的方法」、PDFの電子書籍です。
>> 長沼伸一郎著作集 -- 現代経済学の直観的方法

コンテンツの作者は、長沼伸一郎という方です。
「物理数学の直観的方法」という本の著者と言った方が、通りが良いかもしれません。

物理数学の直観的方法

物理数学の直観的方法

今回ダウンロード販売するのは、いってみれば、その「物理数学」の経済版のようなものです。
なぜこんなところでダウンロード販売するのか、といったいきさつは、販売ページの方に記しておきました。
>> http://book.motion.ne.jp/pathfind/economy.html

経済がわからない。そのようにぼやく人は、決して少なくないと思います。
かく言う私もその1人でした。 * 経済がわからない >> [id:rikunora:20090808]
 ・経済について、どうにも明確なイメージを思い描けない。
 ・経済というものに、モヤモヤとした不信感を抱いている。
 ・経済とは何か、ずばり本質的なところが知りたい。
そう感じている人は、ぜひこの「現代経済学の直観的方法」を読んでみてください。
こと「わかりやすさ」については、折り紙付きです。
第1章までは「立ち読み」できますので、まずはご覧あれ。
>> http://book.motion.ne.jp/pathfind/Economy_Sample.pdf (PDF)

以下に、私が印象に残ったフレーズをピックアップしてみます。

速度がプラスだというならまだしも、加速度がプラスというのではこれは正気の沙汰ではない。
われわれの現在生きている社会が現実にそうなっているというのは、
いささか信じ難い気もするが、しかしこれは本当のことなのである。 (P.33)

しかし私としては、ここで一つ経済学者から見れば気違いじみていると見えるような見解を提出してみたい。
すなわちそれは「資本主義とはその外見とは裏腹に、実は最も原始的な社会経済システムなのであり、それ以上壊れようがないからこそ生き残ってきたのではないだろうか」(P.45)

近代以降の経済社会が新しい消費行動を作り出そうとする際には、それが結局は一つの主題を追求することで行われてきたことには注意すべきだろう。
つまりそれは、今まで複雑だった物事を「単純化・直線化・フラット化」することによって新しい製品や消費活動が作り出されていたということであり、特に米国の資本主義社会を見るとそれが端的に現れている。
・・・
世の中の複雑だったものを直線化する作業を全部やりつくしてしまったら、その後は一体どうなるのか
・・・
社会にせよ人間にせよ、直線化することで健全な経済的利益を生み出せる部分というものはもともと限られた量しか存在しておらず、その意味では資本主義は決して「無から有を生み出してきた」わけではない (P.68)

しかしこれは人類が過去に経験したことのない事態なのだろうか。
実は過去に一つこれと似たことが起こっており、それは二千年前のローマ共和制の崩壊である。
特にこれは現代の状況から眺めると、余りにも酷似していてどきりとされられる部分が多く、・・・
・・・
農産物のデフレが進行する中、社会では投機と拝金主義が跋扈し、大金持ちが大勢の奴隷を使って大農場でどんどん儲ける一方で、自由農民は次々に破産して無産者の地位に転落していく。
そして彼らが手放した土地をまた金持ちが手に入れて大農場をさらに拡大するという悪循環が進行して、国内の経済格差はどんどん広がっていった。
要するに現代と驚くほどそっくりの状況が二千年以上も昔に発生していたわけである。 (P.187)

もはやわれわれは、何かこれまで知られていなかった斬新な手法によって、社会全体で「金銭的な富と社会的尊敬を分離する」ことを試みる以外にどうしようもない時期にさしかかっているのではあるまいかということである。
それは歴史的に見れば決して非現実的なことではなく、過去の歴史でも、例えば日本の徳川武家体制への移行期や、イスラム社会の成立期において、現実にそれに似たことが見られていた。
そしてこの時には、人々の価値観や社会的尊敬の判断基準がカネとは別の大きな文化体系の中に切り換えられ、たとえ労働倫理とは部分的に切り離されても、別の倫理がそれにとってかわって社会秩序を維持したのである。
 逆にそれに失敗したのがローマ帝国で、格差社会が解消されない中で労働倫理と切り離された人々は、ただ頽廃の中に落ち込んでいくだけとなってしまった。(P.191)

人間は苦難それ自体によって死ぬことは稀である。
人間を殺すのは実は絶望であり、どんな苦難があってもどこかに活路があると信じている限り、人間は驚異的な力を出して生き抜くものである。
・・・
しかしここで注目すべきことは、希望を断たれることばかりでなく、希望がかなってそれを味わってしまうことでも人間の精神は活路を断たれたと感じるらしいことである。(P.199)

この本のサブタイトルは、
 「2大要点の突破」で拓かれる経済学の最短理解ルート
となっています。
経済のメカニズムをとことんつきつめると、その中心には「2つのコア」がある。
その「2つのコア」を理解することが、経済の全容を理解する最短ルートなのだ、
というのが同書の主張です。

われわれが第一のコアを眺めていたとき、実は視野内には世界中の実体経済を回っているマネー全部が入っていたことになるわけで、
それは約50兆ドルという数字になり、それと比べれば先ほどの一見巨大に見えた貿易総額の数字といえども、せいぜいその3割程度でしかない。
・・・
そして第二のコアに関しても同様であり、・・・当然その金額規模も同じになる。
そしてその上さらに金融市場の中で自己増殖したマネーもそこに加わることになるため、
視野に入っている金額は先ほどのものと遜色ないことになるだろう。
・・・
そのためこの二つのコアを眺めた時に視野に入っている金額規模は、そのいずれもが世界の貿易総額さえ比較にならないほど巨額なものであることがわかる。
そして比較対象として貿易以外の話題を選んだ場合でも、例えば農業経済と産業構造の話題や国際為替の話題などにせよ、一見するとその規模は大きいものの、比べてみれば明らかにこれを下回っており、メインの根幹というよりせいぜい太い枝の中の一本、という程度のレベルに過ぎない。
つまり金額規模の面でもこの二つのコアは他を圧して大きく、これこそまさに経済社会全体のコアと呼ぶにふさわしいものなのである。 (P.157)

具体的に「2つのコア」とは何であるかは、本を読んでのお楽しみ。
それを理解するためには、少なくともこの本1冊を読む必要があります。

全体を通じて、「成長を続けて止まれない資本主義経済をどうすれば遅くできるか」というテーマが基調となっています。
第7章のタイトルは
 資本主義にブレーキをかける力をどう調達するか
ですし、それに続く付記は、
 「人を追い出す」資本主義にどうブレーキをかけるか
となっています。

通常の経済の解説書は、色彩の差はあっても結局は「いかに経済を繁栄させるか」という主題を巡って記述がなされている。
それに対して本書は全く正反対に「成長を続けて止まれない資本主義経済をどうすれば遅くできるか」という主題を設定し、いささか天の邪鬼な視点で裏口から現代資本主義のメカニズムに迫ってみようという方針をとる。
読者にも経験はおありと思うが、今まで何度読んでもわからなかった問題が、逆の視点から見ると実にあっさり把握できるということは稀ではなく、本書はその方式の利点を最大限に活かす方針をとっている。 (P.8 旧版序文より)

速いのが良いのか、遅いのが良いのかについては、賛否両論でしょう。
ただ、私の感覚からすると、「経済を遅くする」ことは、現在世の中が直面している最大の課題だと思うのです。

「現代経済学の直観的方法」と同時に、同じ著者による「無形化世界の力学と戦略」もダウンロード販売します。
こちらは絶版になっていた書籍を電子化して復刊したものです。

ちょうど遅いスピードでも飛べる飛行機を設計することが、速く飛べる飛行機を設計することに劣らず高度な技術を要求されるのに似て、この複雑で巨大な資本主義経済のスピードを遅くするということには、想像を遥かに超える高度な一種の社会学的テクノロジーがない限りは全く不可能なのである。
・・・
そこには本格的なテクノロジーを扱える頭脳がほとんど参加していなかったのである。
少なくともこちらの陣営に、もしコンピューター・サイエンスに投入された頭脳の一万分の一でも投入されていたとしたなら、それ自体驚きであろう。

これまで人類が投じてきた英知は、そのほとんどが「速くすること」に費やされてきました。
しかし、その反対の「遅くすること」に対して、人類はいったいどれだけの知恵を費やしてきたのでしょうか。
「速くすること」に投じてきた頭脳のほんの一部でも、「遅くすること」に回すことができたなら、
それだけでだいぶ世の中が変わるのではないでしょうか。


* 参考: 経済物理学からの提言 >> [id:rikunora:20100225]