天才鳩の驚くべき行動

信号待ちをしている人々の足下に、一羽の鳩がいた。
何をしているのかと思い、気にかけてしばらく見ているうちに、信号が青になった。
すると、その鳩は人々に先駆けて、トットトット、と横断歩道を渡り始めた。
そのまま横断歩道を渡り終え、道路の反対側に移ると、都会の雑踏にまぎれて何処かに消えてしまった。

なんということだろう。
あの鳩は、ちゃんと交通信号を読み取っていたのだ。
すごく都会慣れした鳩だ。
信号の色を見ていたのだろうか、それとも点灯する位置を読み取っていたのだろうか。
鳩って色を識別できたっけ。
いや、信号を見ていたというより、周囲の人々の空気を読んで、それに行動を合わせたのかもしれない。
しかし、あの鳩は後からついて行ったというよりも、確かに先頭を切っていた。
それとも交差点で流れている「通りゃんせ、通りゃんせ」のメロディーを聞いて、それに従ったのだろうか。
もう一度あの鳩に会えないだろうか。
謎は深まるばかりだ。

しかし、何か1つ重大なことを忘れている気がする。
そうだ、おまえ鳥なんだろう。
飛べよ、飛べ。