キャノンボール成らず、超悔しいぃ〜!

東京〜大阪間を自転車で24時間以内に走破することができるだろうか?

そんなの無理だ・・・と、当初は私も思っていた。
ところが、この一見不可能に思える遠大な距離を走り切った人がいるらしいのである。
cannonball 自転車」でググってみると、挑戦者、達成者の記録が幾つもヒットする。
東京⇔大阪24時間走破、通称「キャノンボール」と呼ばれるチャレンジである。

3/22(土)〜23(日)にかけて、キャノンボールにチャレンジした。
結果、残念ながら24時間走破は達成できなかった。(30時間完走)

大阪梅田を深夜1:25発 〜 約450km走った後、22:40 茅ヶ崎付近で24時間達成をあきらめた。
敗因は、途中、富士川の手前付近で事故ったことにある。
それまで良い感じのペースで進んでいただけに、悔しくて仕方ない。

* ルートラボキャノンボール前半 >> http://yahoo.jp/brwumn
 (後半は電池切れのため、GPS記録は残っていない。)

■ 天気図は招くよ
3/21(金)、春分の日。この日、東京では強い西風が吹いていた。
ふと天気図を見ると、こんな具合になっていた。

これは、“自転車で西から東に向かって走れ”と言っているようなものではないか!
連休+追い風、これだけの好条件はめったに無い。輪行袋に自転車を放り込み、新幹線で一路大阪へ。
(・・・何か連休中にやらねばならないことがあったような気もしたが、きっと気のせいに違いない。)
のぞみ123号にて、夜9時に大阪到着。
「太平の湯なんば店」というスーパー銭湯で、営業時間いっぱいの深夜1:00まで仮眠。
>> http://www.taiheinoyu.jp/mysite13/access.html
コンビニ(ファミマ府立体育館前店)から不要な荷物を宅急便にて自宅に送り、食料を調達。
 * 出発時の食料
  ・おにぎりx3個
  ・ミニつぶあんパン5個入りx1パック
  ・ポカリスエット 500ml

深夜1:25(正確には1:24:27)、梅田新道交差点をスタート!


■ 雨の伊賀越え
東京に向かうルートは、主に2本ある。
1つが素直に国道1号を走り、京都を経由するルート。
もう1つが国道163号線->25号を使って、伊賀の山越えを行うルート。
後者は20kmほど短いが、アップダウンがあり、一部未舗装という悪路である。
私は後者の山越えコースを選んだ。
最初の1時間で清滝峠越え。足を使い切らないよう無理をせず、一番軽いギアで登る。
時計を見ると、予定タイムと実走地点がピッタリ一致している。
つまり、今後このペースを維持、休憩時間はほとんど無い、ということだ。

木津付近で、パラパラと雨粒が顔に当たってきた。なんということだ。
もう引き返すことはできないので、そのまま突き進む。
笠置を過ぎたあたりから街灯も無くなり、周囲は真っ暗となる。
こんなこともあろうかと、懐中電灯2本を装備してきたのが正解であった。
早朝4:00、上野市通過、追い風が吹き始める。ここまでは順調だが、空模様が気にかかる。
伊賀に近付くにつれ、いよいよ雨が本格化してきた。路面が濡れ、所々に水たまりができる。
ロードレーサーだと背中に水が跳ねてくるが、速度は落とせない。

伊賀インター付近、この時間帯めったに通らない自動車が追い抜いていった後、
何か巨大な影が、ドドッ、ドドッ、と目の前を横切った。驚いてみると、鹿だった!
自動車のライトに驚いて出てきたようだ。こっちも驚いた。
鹿は白い尻を見せつつ、闇の中に消えて行った。
伊賀インターを超えると、いよいよ山道に突入。鹿が出てくるような道だ。
しばらく進むと、舗装が切れてダートとなる。
泥水を跳ね散らかし、ブレーキをシューシュー言わせながら道を下る。
薄めの服しか着てこなかったのは失敗、むちゃくちゃ寒い。
防寒具を省略すべきではなかった。

朝5:30に亀山到着。雨は上がったものの、路面は濡れたまま。
四日市に向かう途中で日の出を迎える。
暖かい。路面が見る見る乾いてゆく。太陽すばらしい。
四日市市内の諏訪公園という所で、最初の休憩。おにぎり3個食べて、ついでにトイレ。
休憩時間は10分、6:37出発。とにかく休憩時間は最小限に抑えた。
この時点で予定より1時間ほどプラス。
もともと伊賀越えの山道にゆとりを見込んでいた分のプラスである。

■ 追い風に乗る
朝8:10に名古屋、熱田神宮前を通過。
名古屋から浜名湖までの区間、強い追い風が吹く。
天気図から期待した通りの状況、ここで距離と時間を稼ぐ。
10:00にコンビニ補給、セブンイレブン岡崎本宿店。
 * 調達した食料
  ・おにぎりx4個
  ・ミニあんパン4個入りx1パック
  ・ミニドーナツ5個入りx1パック
  ・ポカリスエット 500ml
今回、全体を通じて途中唯一のコンビニ補給。
このうち、おにぎり1個は結局最後まで残ることになる。
 ※ ハンガーノックに備えて最後の補給食は必ず残すことにしている。
 ※ アンパンやドーナツはトップチューブのバックに詰めて、信号待ちで少しずつ食べている。

10:56、聖地、岩谷キャノンボウル通過。
11:18、潮見坂通過。ここで気付かないうちに潮見バイパスに入ってしまう。
予想よりもずっと早く着いたので、そこが潮見トンネルだとは思わなかった。
慌てて次の白須賀インターで降りた。
11:40、浜名湖弁天島
12:00、遠州灘260km地点を通過。
タイム良しとは言え、まだここで半分に過ぎない。
静岡内陸部に向かうあたりから、風向きが変わる。ボーナスタイムはここまで。
13:00、袋井通過。予定より1時間以上前進している。
掛川の手前でサイコンのバッテリーが切れた。
予備バッテリーは持っていたのだが、なぜかいざというときには繋がらない。
(以前、御前崎往復でも同じことが起こった。)GPS記録はここまで。

■ 痛恨の事故
14:30頃、小夜の中山通過。だいぶ登り坂がきつく感じられてきた。
15:50、静岡駅前を通過。
この間の休憩、
 ・掛川にて自販機ジュース2缶を一気飲み。(ミニッツメイド・グレープフルーツ)
  果物の酸味がやたらと美味い。もう1缶をボトルに詰めて出発。
 ・清水手前で自販機ポンジュース1缶。ここでおにぎり3個食べる。
 ・清水清見潟公園でトイレ休憩。
  公園の隣にある、清水興津図書館の脇から太平洋岸の自転車道路に入る。
  (入り口はわかりにくい。バイパスの下をくぐる小さなトンネル)
17:00、由比、寺尾交差点の陸橋を渡る。(ここは以前、信号待ちだったのが立体交差になった)

旧東海道(県道396号)蒲原駅付近を走行中、突然、対向車線の車がこちら側にある駐車場に向けてハンドルを切ってきた!

成す術も無く、正面衝突。吹っ飛ぶ。
起き上がって最初に確認できたのは、体は大丈夫だった、ということ。
膝をちょっと擦りむいた程度で、奇跡的に無事だった。
自転車の方は、フレームと車輪は無事。
ハンドルとブラケットが曲がったものの、これは直ぐに直せる。
変速アウターケーブルがばらけたが、ビニールテープで巻いて応急処置を行う。
リア変速機を見ると、取り付けのリアエンドが内側に曲がっている!
何とか走れはするものの、ロー側のギヤ2枚に変速できなくなった。

あと、右側シューズのクリートが割れた。
そのため、ペダルに“パチン”とシューズを留めることができなくなった。

このときは、とにかく最速で続行することしか考えていなかった。
手早く修理して、17:30再スタートを切る。20〜30分のロスタイム。
それでもまだ30分程度のゆとりが残っている。
18:00、田子の浦港通過。19:00三嶋大社通過。
箱根を1時間で登り切れば、まだ望みはある!

■ 箱根にて撃沈
しかし、ここに及んで箱根の登りに必要な、重要な2カ所が欠けていた。
・ローギア2枚が使用不能
・立ち漕ぎすると、右ペダルを踏み外す。
この状態で上り坂に挑むも、ほどなく力尽きた。ついに自転車を降りての押しが入る。
押しては乗り、乗っては押し、を交互に繰り返す。
途中、大曲付近の自販機でスタミナドリンクを補給。
上り坂がどこまでも、果てしなく続くように感じられた。
1時間40分かけて、何とか箱根峠にたどり着く。半分は押し歩きだった。
残りタイムはマイナスに転じる。約10分の遅れ。

真っ暗な旧東海道をひたすら下る。ここでもダブル懐中電灯が大活躍。
箱根の下り坂はとても寒く、体の芯まで冷えた。
21:30、旧東海道を抜け、早川到着。
残り約4時間、遅れ気味だが、まだ何とかなるかもしれない。最後の力を振り絞る。
相模川、湘南大橋を渡ったところで 22:40だった。
ここまでは以前にも度々来たことがある。元気な状態で、およそ3時間の道程だ。
残り時間は2時間45分。15分ほど足りない。
今の状態で、15分ひっくり返すのは難しい・・・
そう思った瞬間、張りつめていた気合いの糸が切れた。

■ 最後はなし崩し
眠い、寒い、とにかく休みたい。近くのスーパー銭湯に向かう。
* 竜泉寺の湯、湘南茅ヶ崎
http://www.ryusenjinoyu.com/chigasaki/index.html
風呂で爆睡。営業時間の深夜3:00まで休む。
3:40から再びノロノロと走行開始。
朝7:10、ようやくゴール地点の日本橋にたどり着いた。


■ 使用機材

・チネリ・スーパーコルサ

シマノアルテグラ(9速)
・マビック・オープンプロ + ビットリア・プロスリック
・エアロバー:プロファイル T2 コブラ
 -- これがあると向かい風に強い。あと、ハンドルにもたれかかって休める。
・懐中電灯:GENTOS 閃 SG-355B + SuperFire 522XB
 -- さらに、TOPEAK Headlux(ヘルメットに取り付けるライト)を装備。
 -- 後方赤色灯:CATEYE RAPID 5 + Bikeguy トライスター レッド
 -- さらに蛍光ベスト着用。とにかく、これでもか!という位に光る。

■ 反省
・前日はたっぷりと睡眠を取るべき。突如思い立って新幹線は好ましくない。
・この季節、防寒具を省略してはいけない。あと手袋も。
・伊賀越えは明るいうちに行った方が良い。
 深夜通過も不可能ではないが、難易度は高い。鹿も出る。
・箱根の旧東海道も夜には真っ暗、明るいうちの方が良い。
 そう考えると、大阪昼発〜静岡夜通過〜朝に箱根通過パターンが良さそう。
・一度でもアクシデントが発生すると、達成は困難。
 しかし、この事故を防ぐにはどうすれば良いのか・・・
・きっとローギア無しでも箱根に登れる脚力があれば、大丈夫。
・一度気持ちが折れると、もうだめだ。
・またやったる!

 * 2回目の挑戦に続く >> [id:rikunora:20140514]